通所介護や訪問介護などの介護事業所を開設して行政の指定を受けるには、三つの指定基準をクリアする必要があります。設備基準、運営基準、人員基準がそれで、グループホームも例外ではありません。
ここでは、 グループホーム の 人員基準 を解説してみましょう。
グループホームには人員基準があります
▽ 目次
グループホームは5~9人の認知症患者が対象
最初に、グループホームを簡単に紹介しておきましょう。イメージとしてどのようなものか知っている人は多いでしょうが、人員基準を満たすために押さえておきたい要点があります。もう一度おさらいしておきましょう。
グループホームの入所者は5~9人と定められています(これをユニットと呼びます)。65歳以上の要支援2、または要介護1以上の認知症患者が対象で、主に認知症の進行を妨げたり緩やかにすることを目的としています。
グループホームで提供できるサービスは食事や掃除、洗濯のサポートなどの生活支援のほか、緊急時の対応や機能訓練も含まれます。
グループホームに必要な人員基準は
今述べたサービスを維持するために規定されている人員基準は次の通りです。 代表者1人、計画作成担当者1人、常勤管理者1人、そして介護職員です。介護職員の数は入所者3人に対して1人です。9人入所していれば介護職員は3人必要です。
運営基準、設備基準も同様ですが、この人員基準が満たされていないと、せっかく指定を受けていても取り消される可能性があります。指示や義務に違反すると処罰されるケースもみられます。
代表者は知識と経験が必要
次に、それぞれのスタッフをみてみましょう。代表者というのは説明する必要はないでしょう。多くの場合、開設した人と同じであることが多いようです。誰でもいいわけではなく、それなりの知識と経験が必要です。
介護の仕事の経験、または介護事業を経営したことがないと代表者にはなれません。さらに、厚生労働省が指定した研修を受講しておかなければなりません。
ただし、常勤管理者や計画作成担当者と兼務することはできます。
ケアプランを作成する計画作成担当者
計画とは介護サービス計画です。いわゆるケアプランです。これは介護支援専門員(ケアマネージャー)が作成するのが原則ですが、ユニットがひとつのグループホームでは必ずしも介護支援専門員でもなくてもよく、そのため計画作成担当者という言い方をしているわけです。
ただし、ユニットがふたつ以上あれば介護支援専門員が1人は配置されてなくてはならず、その人がもう1人の計画作成担当者を監督することになります。
また、介護支援専門員であっても、計画作成担当者になるには認知症介護実務者研修を受けなくてはなりません。
全般を管理する常勤管理者
文字通り管理する人です。グループホームの全体を管理するのが業務で、入所者の処遇や家族への対応、スタッフ管理から経営的な数字のチェックと非常に多くの内容を把握しておかなくてはなりません。
介護スタッフが足りなければ、それを補うために自分で担当することもあります。管理業務だけをやっていればいいわけではありません。
そのためには、認知症介護経験が3年以上は必要で、さらには計画作成担当者と同じく指定された研修を受講していなくてはいけません。もっとも、計画作成担当者を兼任することはできます。
介護職員の数は常任換算で
入所者をケアする最前線のスタッフです。人数は、入所者3人に対してスタッフが常任換算で1人と定められています。
ここで常任換算を説明しておきましょう。わかりやすくいえば、1日8時間働く常任スタッフが1人いて、4時間しか仕事をしないパートタイマーが2人いたとすると、常任換算は2人になります。スタッフは3人ですが、常任で勤務するのは2人とみなされるわけです。
厳密な計算方法は次の通りです。
「非常勤スタッフの勤務時間」÷「常勤スタッフの勤務時間」+「常勤スタッフの人数」
通常、勤務時間は1週間を基準とします。常勤スタッフの標準的な数字は1日8時間×5日=40時間です(就業規則で定められている)。対して、非常勤スタッフの勤務時間はばらつきがあるでしょうから、4週間の合計を4で割って平均するのが通例です。
また、18~6時は入所者の数にかかわらず、常勤スタッフが1人必要です。
まとめ
グループホームには人員基準があります
グループホームは5~9人の認知症患者が対象
グループホームに必要な人員基準は
代表者は知識と経験が必要
全般を管理する常勤管理者
介護職員の数は常任換算で