かつて配偶者の 遺産 相続 割合 は総額の1/3でしたが、1980年の民法改正によって1/2にまで引き上げられました。その後、相続に関する法律は長らく改正されないままでしたが、ようやく具体的な見直しの動きがでてきました。相続法は今後どのように変わっていくのでしょうか。
なぜ子のない妻の遺産相続割合は100%でないのか
法で定められた相続人の範囲
被相続人と夫婦だった夫または妻、つまり配偶者は、相続が発生したとき常に筆頭の相続人という立場に置かれます。そしてこの夫婦の子供たちがそれに準ずる相続人のポジションに位置することになります。
このような相続の順位は法律で定められており、第一順位には血のつながった子または孫またはひ孫が属します。第二順位には被相続人の両親または祖父母が属します。そして第三位には被相続人の兄弟姉妹またはその子供(被相続人にとっての甥・姪)が属します。
このように相続人とは基本的に戸籍に記載されている人々のことをいいますが、婚外子のように、戸籍に記載がなくても血のつながりがある者にも相続人の資格があります。
相続順位別の相続割合
各相続人の相続割合は、相続人の数と順位によって決まります。そして順位が上の相続人が存命の場合は下位の相続人に相続権はありません。最も一般的な、相続人が配偶者とその子供というケースなら、被相続人の父母や兄弟に相続の権利は生じません。
そしてこの一般的なケースでは配偶者が総額の1/2、残りの1/2を子供が人数で均等割りすると決められています。子供が被相続人に先立って亡くなっていた場合にはその子供、つまり被相続人と血のつながりのある孫が代理で相続する代襲相続をすることになります。
また、婚外子の相続人についても嫡出子と同じ割合の相続をすることができます。
子がいない夫婦の場合の相続割合
たとえば、子のいない夫婦の場合、配偶者が遺産をすべて相続するように思われがちかもしれませんがこれは間違いです。実はこのときに生存する次順の相続人がいれば、常に相続人である配偶者とこの相続人とで、財産を分けるのが法律上のルールです。
たとえば、相続発生時に被相続人の両親が存命なら、相続順からみて2番目の彼らと配偶者とで財産を分けることになります。この場合は配偶者が全体の2/3、両親が残りを相続することになります。
また、すでに両親が他界している場合は、相続順第三位にあたる、被相続人の兄弟姉妹と財産を分けることになります。そしてこの場合は配偶者が3/4、残りを兄弟姉妹が均等割りで相続します。
兄弟姉妹が被相続人に先立って亡くなっている場合にはやはり代襲相続でその子供、つまり被相続人の甥・姪が相続することになります。このように法律上は、子のない夫婦でも配偶者が財産の100%を相続できないことが少なくありません。
もし100%相続することがあるとしたら、それは被相続人が一人っ子で、その両親もすでに他界し、そして夫婦の間に子供がいなかった場合だけということになります。
望まれる社会の実情に合わせた法改正
法定割合を主張すれば原則的にはその通りに分割しなければならない現行の制度では、いろいろな不都合が生じます。
相続財産が被相続人と共に暮らし、現在も居住している家だけである場合、もし子供が法定割合を要求するようなことになれば、筆頭相続人に相応の経済力がない限りその住居を売却しなければならないことになります。
こうした法的割合からの束縛から解放してくれるのが法律より優先される遺言書です。しかしそのような個人個人の周到な準備の有無でしか保護されない現行の制度には問題があるという声が高まってきています。
法定割合を振りかざせば、老いた親をも居宅から追い出せるような現行法では、その人の生活を守れないからです。またたとえば、長年連れ添って共に財産を形成してきた配偶者と、相続順3位の人間とが法定割合だけで財産を分けなければならないのにも違和感がないとはいえません。
問題は相続の割合そのものではなく、相続の実情にあわせることができる柔軟性です。今年2016年にも提出される法改正案が注目されます。
まとめ
なぜ子のない妻の遺産相続割合は100%でないのか
法で定められた相続人の範囲
相続順位別の相続割合
子がいない夫婦の場合の相続割合
望まれる社会の実情に合わせた法改正