稼ぎ手亡き後の遺族の生活を支えてくれるもの、というイメージの 遺族 年金 。しかし実際には18歳に到達するまでの子、もしくは厚生年金に加入している家族にしか支給されません。
では子供のいない自営業者が加入する国民年金からの支給 金額 はゼロなのでしょうか。
自営業者の妻こそ理解しておくべき遺族年金の金額としくみ
▽ 目次
国民年金は「必要最低限」の給付しかしない
積み立て方式ではなく賦課方式の国民年金は、少子高齢化と長寿化の進展や保険料の徴収率低迷などにより、制度維持が危ぶまれる状態であり、バランスシート上の支出をできるだけ抑制する方向にもっていくようにしているのが実状です。
したがって働く能力や収入を得る能力があると考えられる対象者には自助努力を求め、必要最低限しか支給しないというスタンスです。
遺族年金についてもこの考え方は徹底されており、国民年金とは別途加入する厚生年金とは違い、給付対象者とみなされる遺族は、18歳以下の子供に限られます。
自営業者の妻で専業主婦というケース
自営業者の妻で、自身が社会に出てから厚生年金に加入した経験がなく、ながらく専業主婦だった場合、夫が亡くなったとき自分がまだ60歳未満なら、遺族年金は支給されません。
夫が厚生年金の加入者であった場合は夫が支給すべきだった年金の3/4が支給されるので、この違いは小さくありません。しかも厚生年金の場合、遺された妻が40歳以上なら、65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算というものがつきます。
夫も自分も一度も厚生年金に加入したことのない現在自営業者の妻の場合、個人年金に加入するなど厚生年金に相当するような備えを自己責任でしておかない限り、この溝は埋められません。
国民年金第一号被保険者限定の救済制度
年金受給世代のために現役世代が保険料を払う現行の国民年金は、自分のために積み立てているわけではありません。つまり長年国民年金保険料を払い続けてきても、年金受給年齢前に死亡してしまえば、もはや受給者が存在しないため本人にとっては「掛け捨て」になります。
しかし先述のように子供がいれば18歳になるまではこの子に遺族年金が払われます。また、第一号被保険者つまり、死亡者の配偶者である妻限定での救済制度もあります。
これは寡婦年金といって、妻が60歳になった時点から65歳までの年金支給開始までの5年間限定で、本来夫が受け取るはずだった年金額の3/4を受け取ることができる制度です。
ただし夫の加入期間が25年未満だった場合は一切支給されません。またこの妻が、自分の年金を繰り上げ受給している場合も寡婦年金の受給はできません。
それでも繰上げ受給しなければならない場合
寡婦年金と繰り上げ年金のダブル受給ができないとしたら、当然どちらかより多いほうを選択することになるでしょう。しかしその結果、繰り上げ受給を選択したら、夫の払い続けてきた年金保険料は払い損になってしまいます。
そこで、この場合の救済策としてやはり第一号被保険者限定で、死亡一時金というものが受け取れることになっています。
これは繰り上げ受給していても受けられ、加入期間も最低3年あればよいという条件になっています。
もちろん、加入期間が長ければ受け取れる金額も増え、3年以上15年未満が12万円、~20年未満が14万5千円、~25年未満が17万円、~30年未満が22万円、~35年未満が27万円、35年以上は上限額の32万円となっています。
さらにもし付加年金保険料の400円を上乗せで払っていた場合には、これらの金額に8,500円が上乗せされます。
老後の備えは計画的に
年々老いていく身でずっと健康を保っていられるかはわかりません。そしてたとえ家賃のかからない持ち家だったとしても、自分と共に歳月を過ごしてきた住居は老朽化もし、修繕が必要になることもあるでしょう。
もとより公的年金だけではまったく暮らしてゆけません。とりわけ厚生年金のない自営業者の妻という立場なら、30代、40代からの計画的な備えが不可欠となります。
まとめ
自営業者の妻こそ理解しておくべき遺族年金の金額としくみ
国民年金は「必要最低限」の給付しかしない
自営業者の妻で専業主婦というケース
国民年金第一号被保険者限定の救済制度
それでも繰上げ受給しなければならない場合
老後の備えは計画的に