デイサービスに通っている利用者が家族の都合でサービスを受ける日を増やしてほしいとか、曜日を変更してもらいたいとかいうことは日常的によくあることですが、 ケアプラン の 軽微な変更 とはこのような事柄が該当するのでしょうか。
また、「軽微な変更問題」と言われる所以はどこにあるのでしょうか。
ケアプランの軽微な変更の何が問題なのか
具体的な「軽微な変更」例
まず、利用者や家族の体調不良や都合によって臨時にサービス提供の曜日や日付を変更したり、同じサービス提供の事業所において週1回程度のサービス利用回数の増減をすることなどは「軽微な変更」に該当する場合があるとされています。
利用者の住所変更や事業所の名称変更も「軽微な変更」に該当する場合があるとされています。
ケアプランの課題や期間という目標設定を変更する必要が無く、単に目標設定期間を延長する場合や機能の変化を伴わない同一種目の福祉用具の変更も「軽微な変更」に該当する場合があるとされています。
利用者の状況の変化を原因としない、ケアプランも目標やサービスも変わらない単なる事業所の変更やケアプランの総合的な援助の方針や生活全般の解決すべき課題・目標・サービス種別等が変わらない範囲でのサービス内容の変更も「軽微な変更」に該当する場合があるとされています。
新しい担当者が利用者や各サービス担当者と面識を有していれば、契約している居宅介護支援事業所の担当介護支援専門員変更は「軽微な変更」に該当する場合があるとされています。
「軽微な変更」に該当すると違ってくること
居宅サービスの計画を変更するためには①居宅訪問アセスメント②サービス担当者会議③居宅サービス計画の説明と同意④居宅サービス計画の交付という手続きを経ることになっています。
サービス日時の変更など日常的に起こりうる事柄で毎回毎回これだけの事務手続きを踏むのは大変な労力です。
老介発0730第1号において利用者の希望によるサービス提供の変更を行う場合には上記の①~④の業務を必要としないとされています。
サービス担当者会議も必ずしも実施しなければならないものではなく、すべての事業所を招集せず照会という形で意見を求めることなどが想定されています。
増大化する一方の事務量の負担を減らして利用者のための仕事に振り向けていくというのは、双方にとって願ったりかなったりのように考えられると思いますが、実際にはそう簡単にいかないようです。
「軽微な変更問題」とは
平成22年7月30日付の介護保険最新情報「介護保険制度に係る書類・事務手続きの見直し」に関するご意見への対応についてを詳細に読んでみると、現場の介護支援専門員の悩みが浮き彫りになってきます。
この介護保険最新情報の3項目めにケアプランの軽微な変更の内容について取り上げられています。
「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられると書かれた後に、あくまでも例示であって、変更する内容が継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用から居宅サービス計画の交付までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきであるという文言が付け加えられています。
現場の悩み
「軽微な変更」に該当すると考えられる場合があるということは、そう考えられない場合もあるということです。「一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべき」と言うものの、判断するのは誰なのだろうというのが現場の悩みになっています。
結局のところ、行政の指導監査の判断によって「軽微な変更」に該当しないとなった場合を考えてケアプランを作り直したり、サービス担当者会議を開催したりすることがあるようです。
可否のはっきりしない、どちらとも解釈できる通達と介護というあまりに多種多様な個々人と状況のあいまった現場で介護支援専門員はひとつひとつのケースに向き合っていると言えるでしょう。
周知のように介護保険を請け負う責任者である保険者は国ではなく、市町村もしくは特別区です。市町村が集まって広域連合として保険者になっている場合もあります。実際のところ、この「軽微な変更」も保険者によって対応が違うということがあるようです。
介護支援専門員などが「軽微な変更」の処理について悩んだときに、介護保険最新情報など国の通達やそれに関する問答集のみならず、保険者である市町村や特別区の通達に準拠するのにはそういう事情があるようです。
市町村や特別区によっては国の通達と対応する形で独自の対応を明文化して通達を出しているところもあるようです。
まとめ
ケアプランの軽微な変更の何が問題なのか
具体的な「軽微な変更」例
「軽微な変更」に該当すると違ってくること
「軽微な変更問題」とは
現場の悩み