平成18年に高齢者虐待防止法が施行され、虐待通報件数は増加傾向となっています。 高齢者 虐待 とは心身に深い傷を負わせ、基本的な人権を侵害する行為をすべて含み、身体的虐待・心理的虐待・介護放棄・性的虐待・経済的虐待の5種類に大別されます。
誰もが加害者になりうる高齢者虐待について
高齢者虐待の種類と内容
身体的虐待
暴力で危害を加えることや危害を与えかねない扱いをすることで、殴る・ゆさぶる・打つ・拘束する・無理やり飲食をさせるなどの行為があります。
心理的虐待
感情的な言葉の使用や行動をいい、脅し・侮蔑・無視・命令などがあげられます。心理的虐待を受けた高齢者は、引きこもりがちになることや不安・うつ状態になる場合があります。
介護放棄
ネグレクトとも言いますが、高齢者に食事や薬を与えず不衛生な状態で放棄したり、必要な介護を怠ることで、介護者にとって虐待とは気づいていない場合があります。
性的虐待
高齢者の権利を無視した性的な侵害のことを言い、高齢者に対して性的な言動を言ったり性的な行為をさせることなどを言います。
経済的虐待
高齢者の合意がなく財産や金銭を使用し、高齢者の希望する金銭の使用を理由なく制限することを言います。
高齢者虐待の背景
虐待者の要因
介護疲れやストレスなどが虐待の要因となることがあり、特に介護の長期化は周囲の配慮が必要となります。また介護者が病気や精神的な問題を抱えている場合は、将来的な不安が強いストレスとなり、虐待につながるケースがあります。
高齢者の要因
認知症がある場合、自分の要望をうまく介護者に伝えられないことで、結果として虐待の原因となることがあります。特に認知症が悪化した場合は介護疲れから虐待につながる可能性が高いです。
社会的要因
都市部などでは近隣とのつきあいが少なく、介護者が一人で問題を抱え込んでいるケースがあります。家族や親せき、友人など相談できる相手が身近にいないことは、介護者が孤独を感じ介護ストレスをため込むことで虐待につながるケースがあります。
虐待を予防するには
虐待をしている介護者を決して加害者ととらえず、介護疲れの状況、介護者の体調など虐待の要因となるものを考え、その家族が抱えている問題が何であるかを探り、高齢者と介護者の支援を行うことが大切です。
虐待を受けている高齢者が認知症である場合は、介護者が認知症についての理解を深めることで虐待を防ぐことができるケースもあり、介護者が認知症をもつ家族会などへ参加することは、同じ苦労をわかちあえることで、心理的な安心感が生まれることがあります。
また地域住民の理解も大事となります。認知症のために近所を徘徊したり、奇声を発したりと、介護者にとって近所との関係性が悪くなることがあっても、近所とのコミュニケーションが取れている場合は、認知症であることを相談することで、声をかけあったり徘徊している場合はさりげなく見守ってくれることもあります。
虐待を受けている高齢者のうち、認知症のある高齢者は8割程度を占めるため、認知症についての理解はとても大事なものとなります。
虐待の兆候サイン
地域でみられる虐待の兆候サイン
- 怒鳴り声や悲鳴、物が投げられる音が頻繁にある。
- 気候や天気が悪くても長時間外にいる姿が頻繁にみられる。
- 最近見かけることが減った。
- 近所づきあいが減り訪問することを拒否する。
- 電気・水道・ガスが止まっている。
- 家族と同居しているのにコンビニなどで頻繁にお弁当などを購入している。
- 家の周りや庭の手入れがされていない。
- 郵便受けが郵便物でいっぱいになっている。
家族・介護者からみられる虐待の兆候サイン
- 高齢者に対し冷たい態度や無関心さがみられる。
- 高齢者の世話や介護に対する拒否的な発言がよくみられる。
- 主治医や介護サービスの担当者に対する拒否がみられる。
- 介護疲れや追い詰められている様子が見られる。
- 介護方法について他人の助言を拒否する。
- 高齢者に対しお金をかけたがらない。
身体的な虐待の兆候サイン
- 身体に小さな傷が頻繁に発生している。
- 太ももや腕の内側、お尻や手のひらなどに傷や痣がみられる。
- 急におびえる仕草や訴えがある。
- 家にいたくないなどの訴えがある。
- 傷やあざに対しての説明のつじつまが合わない。
- 主治医や介護サービスの担当者に話すことや支援を受けることに躊躇がみられ話す内容がよく変わる。
まとめ
誰もが加害者になりうる高齢者虐待について
高齢者虐待の種類と内容
高齢者虐待の背景
虐待を予防するには
虐待の兆候サイン