通所サービスとも呼ばれるデイサービスや 高齢者 の介護施設では筋力の維持や転倒防止のために 椅子 を使った 体操 をすることが多いようです。
各施設や地方によって、さまざまな工夫をした体操を取り入れています。どのような体操があるのでしょうか。
椅子を使った高齢者の体操のいろいろ
椅子に座って上半身の体操
たとえ寝たきりの状態であっても、手の指を動かすことから始めて座ることができるようにまでなるといいます。足腰が弱っていたり、車椅子を利用していたとしても、椅子に座って、まず上半身の体操から始めてみるのはどうでしょうか。
ゆったりと椅子に腰かけ、まず、深呼吸をします。鼻から吸って、口をすぼめてゆっくり吐くという腹式呼吸を意識するのがよいとされています。
手首を回すストレッチから始めて、持ち上げた肩をストンと落とす体操につなげていきます。次いで、左右の指先が反対側の肩に触れる状態で肩を交互に前後します。この体操は肩と肩甲骨のストレッチになります。
最後に、両手を腰に当てて、上半身を左右にねじるように揺らします。この体操は背筋や背骨のストレッチになります。体の先端部から徐々に中心に向かってゆっくりとストレッチをしていくのがコツのようです。
椅子に座って下半身の体操
腹式呼吸を意識して深呼吸をするのは、上半身の体操と同様です。
足首を回します。次いで、両足をそろえて、踵とつま先を交互に上げ下げします。足の指を広げたり、閉じたりを繰り返します。単調になりがちですから、足の指でじゃんけんゲームをするなどして、飽きないような工夫をするのもよいでしょう。
その場足踏みや片足ずつ自分の両手で持ち上げる体操は歩行トレーニングにつながるものになります。
椅子を支えにする体操
介護予防としてデイサービスセンターや介護施設、地域の高齢者の集いなどで取り組まれることの多い体操です。足腰の弱体化はあるものの自立歩行が可能な高齢者に適した体操であると言えます。
背もたれを支えにして持ち、座面の方向を向いて立ちます。背もたれをリハビリ施設の手すりのように使って、その場足踏みや両足交互引き上げ・ストレッチなどを行います。
自立歩行が可能な高齢者の中にもふらつきが不安であるとか、時々膝の力が抜けてしまうという訴えはままあるものです。そのような場合は椅子に座った姿勢からゆっくり立ち上がるというのも有効な体操になります。
まさかの場合には椅子の座面がありますので、安心感があるでしょう。見守りが必要であることは言うまでもありません。
各施設・地方でこんな工夫が
筋力トレーニングや転倒防止体操が高齢者にとって、重要な意味をもつといっても、黙々と続けるのはなかなか難しいことです。まして、体力が低下していたり、体の一部に麻痺があったりするとなおさらのことです。
そこで、各施設や地方で楽しく続けていけるようにさまざま工夫がこらされています。
体操する際に音楽を流す、歌を歌うということは多くみられます。懐かしい童謡を体操バージョンの替え歌にするとか、高齢者に人気の時代劇のテーマソングを使うとか、地方ではご当地ならではの民謡を使うなどいろいろな工夫がこらされています。
腕を挙げる際に、タオルやラップフィルムの芯を利用してストレッチ効果を高める工夫のように身近な物を体操に取り入れることも多いです。鈴を使って、ストレッチの達成感を促しているような施設もあります。
ちょっとした気遣いでやる気アップ
誰しも他人に認められ、褒められるのは嬉しいものです。高齢者とて例外ではありません。こういった体操のシーンでほんの少しの進歩に気づいて、褒められればやる気アップ間違いなしです。
始める前の体調チェックは言うまでもなく、体操の途中も転倒防止と体調のわずかな変化にも気を配り、十分に水分を補給することもおろそかにできません。体操の途中でけがをするようなことがあっては元も子もありません。
筋力を鍛えることと転倒防止に目の行きがちな高齢者の体操の目的ですが、インナーマッスルを鍛えることで、排便・排尿をつかさどる筋肉を鍛えることもできます。排泄の自立は高齢者の生活の質に大きくかかわってくる重大な問題だけに、運動の継続の動機づけになることでしょう。
頑張りすぎることなく、少しだけ負荷をかけることで、何歳になっても筋力は鍛えることができることを繰り返し伝えながら、体操を継続できるように励ましていくとよいでしょう。
まとめ
椅子を使った高齢者の体操のいろいろ
椅子に座って上半身の体操
椅子に座って下半身の体操
椅子を支えにする体操
各施設・地方でこんな工夫が
ちょっとした気遣いでやる気アップ