昨今、テレビや新聞で認知症関連の番組や記事を目にしない日がないほどになってきました。 物忘れが激しい と認知症を疑いますが、意外なことに他にも原因がということもあるようです。
激しい物忘れの原因として種々の認知症とその他についてみてみました。
認知症に限らない物忘れの激しい症状
激しい物忘れとは
人や物の名前が即座に出てこなくなったりすると、年だからと思う反面、認知症という言葉が脳裏をよぎるといったことは、誰しも多かれ少なかれ経験したことがあると思います。
一般的に記憶の一部を忘れてもヒントを与えられれば思い出すことができる場合は加齢などによる物忘れだとされています。一方、記憶の全部を根こそぎ忘れてしまい、ヒントを与えられても思い出すことができないのは病的な物忘れだとされています。
よく例に出される話として、食事のメニューを忘れるのは単なる物忘れで、食事をしたこと自体を忘れるのが病的な物忘れであるということです。
激しい物忘れとはこのようにエピソードを丸ごと忘れてしまう病的な物忘れが急激に始まることであると言えるでしょう。
認知症の種類によって違う物忘れの症状
脳が委縮して神経細胞が減少することによって発症するアルツハイマー型認知症の場合、個人差はあるものの比較的ゆっくりと進行していきます。物忘れも徐々に進行していくので、いきなり激しい物忘れで病気が始まるのは稀なケースだと言うことができます。
一方、脳血管型認知症では脳の動脈硬化や脳出血、脳梗塞などによる脳障害が認知症の原因となっているため、障害を受けた脳の部位によっては急激に激しい物忘れを伴うことがあります。
強いストレスや脳卒中の後遺症として発症する場合も脳血管型認知症と同様の経緯をたどります。
若年性認知症のように若い人でも発症する前頭側頭型認知症も前頭葉や側頭葉が委縮して発症しますので、急激に激しい物忘れ症状に陥ることがあります。
認知症の20パーセントを占めると言われているレビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症によく似た物忘れ症状が出ますが、その前にかなりはっきりとした幻視がみられるのが特徴的です。
認知症以外にも物忘れの原因が
軽度の物忘れがあって、意欲の低下がみられ、引きこもりがちな高齢者が認知症ではなく老人性のうつ病だったというのはよくある話です。高齢者に限らず、うつ病も物忘れを引き起こすことはよく知られています。
高齢者にありがちなのは服用する薬が多すぎて、いわゆる飲み合わせの悪さによっても物忘れをすることがあります。昨今は、かかりつけ薬局でのお薬手帳による服薬管理が浸透してきましたので、何重にもチェックをうけることができるようになってきました。
介護の場において服薬管理が重要視されるのはそういう理由もあるのでしょう。
老若に関わらず、強いストレスは物忘れを引き起こします。脳の海馬と呼ばれる部分で作られた記憶は電気信号で脳内に保管されるようになっていますが、強いストレスはその電気信号を阻害すると考えられています。
人は眠っている間に記憶を整理し定着させるという話は誰しも一度は聞いたことがあると思います。人は眠ることによって体だけではなく脳細胞の疲れを取り、修復しているのです。
睡眠不足も物忘れの大敵であるということが言えます。脳のためには睡眠時間だけでなく、質のよい睡眠をとることを意識的に心がける必要があります。
脳の栄養にはDHAやEPAなど一昔前の日本人が日常的に食していた青魚からとれる成分が有効だと言われています。食生活が欧米化したことで脳の劣化を防げなくなってきているという研究報告があるようです。
脳のためにも脂質・コレステロール・飽和脂肪酸の摂り過ぎには注意した方がいいでしょう。食生活も物忘れを引き起こす要因となっているのです。
原因の特定が何より大切
激しい物忘れの原因が認知症であれ、それ以外のものであれ、なにより大切なのは原因をできるだけ早く特定することです。いまでは物忘れ外来を置く病院も大変多くなってきましたので、まず検査を受けてみるといいでしょう。
原因によって、単に生活習慣を変えればよかったり、服薬治療を受けたりということになることでしょう。薬も原因によって全く違うようですし、早期発見はどんな病気にも最も大切なことです。
まとめ
認知症に限らない物忘れが激しい症状
激しい物忘れとは
認知症の種類によって違う物忘れの症状
認知症以外にも物忘れの原因が
原因の特定が何より大切