年金を取り巻く環境は厳しく、財源という大きな問題を解消する目的で、受給開始年齢を25年間で5歳引き下げるというプロジェクトが進行中です。そのため、数年おきに変わっているのが現状です。現在はどのような状況なのか、この機会にぜひ知っておきましょう。 年金 の 受給年齢 はどんどん繰り下げられています。
年金の受給年齢はどんどん繰り下げられている。
スタート時は55歳だった
我が国に年金制度が誕生したとき、厚生年金の受給開始年齢は55歳でした。大半の企業が55歳定年を導入しており、その後の生活を維持するためのものだったからです。
しかし、皆さんよくご存じのように少子高齢化が進み、加えて受給資格者が急増して平均寿命が延び、年金の財源は大きく圧迫されています。それを解消するため、55歳を60歳まで延長したのです。
でも、それでも財源問題は解決できず、さらに65歳まで繰り下げようとしているのです。
25年かけて5歳繰り下げる方法とは
平成14年4月に施行された厚生年金法の改正で、受給開始年齢は次のように改められました。
- 昭和28年4月1日生まれ以前=60歳
- 昭和28年4月2日〜昭和30年4月1日生まれ=61歳
- 昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日生まれ=62歳
- 昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日生まれ=63歳
- 昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日生まれ=64歳
- 昭和36年4月2日生まれ以降=65歳
この数字はいずれも男性の場合です。女性は5年前倒しされます。
国民年金は65歳から
国民年金制度が創設されたのは昭和36年でした。そのときから支給は65歳と決められていて、これはその後も改正されていません。制定された当時の平均寿命は男性64歳、女性65歳でしたから、このことと大きく関係しているのはうなずけるでしょう。
ところで、前述した25年かけて5歳繰り下げるプロジェクトが進行しているのは厚生年金でした。厚生年金が報酬比例部分と基礎部分とで構成されているのはご存じでしょう。
したがって、昭和36年4月2日生まれ以降の人は65歳から厚生年金を受給されるのですが、同時に国民年金である基礎部分も受け取ることになります。
基礎年金は繰り上げ請求できる
たった今、厚生年金の基礎部分は65歳から受給できるといいました。が、これには注釈が必要です。なぜなら、希望すれば60歳を過ぎた時点で繰り上げ請求できるからです。 ただし、受給額は減額されます。それはそうでしょう。
開始は65歳と規定されているのにそれ以前から受給するのですから、ペナルティを課せられても当然です。
減額される率は、繰り上げを請求した月から65歳に達する前月までの月数×0.5%です。早く請求すれば減額率は高くなるわけです。
この繰り上げ請求は一旦なされると変更はできません。また、障害基礎年金を請求できなくなるなどさまざまな注意事項があることを知っておいてください。
なお、これまで説明したのは全額を繰り上げ請求をしたケースです。他に、一部繰り上げという方法もあります。
基礎年金を繰り下げると増額される
繰り上げとは逆に、受給年齢を繰り下げることも可能です。その場合、いうまでもなく年金は増額されます。繰り上げた場合と同じく月単位で計算され、それに0.007を乗じた比率で増えます。65歳を過ぎても仕事のできる人など年金に頼らずとも生活できる場合は利用するといいでしょう。
ただし、改めて説明するまでもなく、年金は本人が死亡した時点で支給は打ち切られます。年金の受給を遅らせると死亡するまでの期間が短くなり、総受給額が減ることになります。
冒頭で、受給年齢を65歳にするプロジェクトが進行していることを紹介しましたが、政府は67歳、さらには70歳にすることも考えているようです。
そうしなければ財源を維持できないのでしょうが、ある試算によると70歳から支給した場合、現状に比較して合計で1000万円ものマイナスになるそうです。
まとめ
年金の受給年齢はどんどん繰り下げられている。
スタート時は55歳だった
25年かけて5歳繰り下げる方法とは
国民年金は65歳から
基礎年金は繰り上げ請求できる
基礎年金を繰り下げると増額される