遺産の相続の中には、遺産分割の前に自分の相続分となるものを第三者や他の相続人に譲渡するということがあります。このようなことを相続分の譲渡といいますが、この方法をとると遺産相続に関わりたくないと思っている方にとっては有利なことがあるのです。
では 相続分の譲渡 についてご説明します。
相続分の譲渡とは、どのようなものなのか!
譲渡とは
自身の遺産の取り分を他者にあげてしまうことが譲渡です。譲渡をするのは同じ相続人にもできますし、第3者にもできます。その場合に他の相続人の同意というのは必要ありません。自身の取り分においては、自分の判断で誰かに譲渡できます。
例えば、法律分割での相続分が半分だとするとそれを他の人にそのまま譲ることができます。その場合に特に書類というものは必要なく口約束でも可能です。ただ譲ったとか譲らないということで揉める可能性は出てきます。このようなことを想定すると書類に記しておく方が賢明です。
例えば、相続登記等を譲渡する場合には、どうしても証明する書類が必要となりますので書類を交わした方がその後の処理としても問題がないでしょう。
譲渡をする時期は
譲渡をする相手は、誰でもいいのですが時期として遺産の分割前に必ず行わないといけません。譲渡というのは、自身の財産の取り分を渡すというよりも相続人という地位そのものを譲ることになります。
譲渡をする場合の注意点とは
相続分の譲渡については、柔軟な部分も多いのですが一部にはできないこともありますので注意してください。
上述しましたが、譲渡というのは誰に対してもできます。そして、譲渡は相続人の地位の譲渡となりますので、譲渡を受けることによって関係する遺産分割協議などに参加でき、そこで決定した遺産を受け取ることになります。
譲渡自体は、有償でも無償でもいいですし、譲渡をする時には他の相続人の同意も不要です。譲渡自体は、赤の他人に対しても相続人に対しても可能です。
方法としては、口約束でもいいのですが、譲渡後のさまざまな手続きやトラブル対策を考えると書類を交わすことが望ましいでしょう。
相続分においては、その一部を譲渡することも可能です。また誰かから譲渡された分をその方が、さらに別の方に譲渡することもできます。
もし、譲渡した場合には他の相続人にも通知をする必要があります。
第3者などに譲渡した場合には
相続分の譲渡を相続人以外の第3者が受けた場合には、不動産登記などでは譲渡を受けたという旨の書類で証明する必要があります。
また、金融機関では預金の払い戻しは、譲渡を受けた第3者には基本的に認められていません。そのような場合には、預金の分割後に相続人が払い戻しを受けてから譲渡をした第3者に取り分を渡すという方法となります。
ちなみに相続人に対して、相続分の譲渡が行われたというような場合には、このような手続き上の制限はありません。というのも譲渡を受けた場合でも、元々自分の取り分を持っている相続人にかわりがないからです。
ただ、このような場合でも法律上とは違った取り分になりますので、登記などの場合にはそれを証明する書類が必要となります。
相続分の取戻しとは
共同相続人以外の第三者に相続分が譲渡された場合には、第三者が分割協議に入ってくるということになり協議事態が順調に進まないということが多くなります。
そのようなことを想定して民法では、第三者に相続分が譲渡されるというような場合には、他の共同相続人がその第三者に譲渡された相続分を取り戻せるようにしています。このようなことを相続分の取戻しといいます。
共同相続人全員で取戻権を行使しなくても一人でも可能です。しかし行使した相続人が一人でも取り戻された相続分というのは、共同相続人全員に帰属します。その場合に取り戻しに必要となった費用も、相続分に応じて共同相続人が負担しなければいけません。
また、譲渡された時から1ヶ月以内に取り戻しを行なう必要があります。
まとめ
相続分の譲渡とは、どのようなものなのか!
譲渡とは
譲渡をする時期は
譲渡をする場合の注意点とは
第3者等に譲渡した場合には
相続分の取戻しとは