現在は直属ではなくても、あなたが入社したとき、仕事上の困難に遭遇したとき、優しく、あるいは厳しく指導してくれた上司がいたでしょう。その人が定年 退職 を迎えたとき、お世話になったことへの感謝の気持ちを 手紙 という形で伝えてみませんか。きっと喜んでもらえるはずです。
定年退職する上司へ感謝の手紙を贈りましょう。
▽ 目次
メールよりも手紙で
携帯電話やインターネットが普及し、今では手紙で気持ちや意志を伝える機会は非常に少なくなってしまいました。取って代わったのがメール(電子メール)です。相手にすぐ届くし、反応も早く、手紙のような決まりごとがありませんから手軽に利用できます。
しかし、手紙、特に手書きの手紙に見られる風情や情緒は望むべくもありません。印刷すればメールも形として残りますが、モノとしての手紙ほどの重みはありません。メールは簡単に削除されます。でも、手紙は、贈られた本人にとっては宝物になります。
手紙の内容を五つのパートにわける
手紙にはいくつかの決まりごとがあります。いわゆる定型文と呼ばれるもので、それを無視していいのはよほど仲のいい友人だけです。元上司に贈る以上、決まりごとはきっちりと守らなければ一般社会人として疑われることになります。
その決まりごとを処理するため、ここでは手紙を五つのパート…最初の挨拶、定年退職の事実、これまでのお礼、今後の予定、締めの挨拶にわけて解説してみましょう。
最初の挨拶は決められた定型文で
手紙の最初の書き出しは決められた通りの定型文です。拝啓から始まり、「時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」と続きます。かぎかっこの中はさまざまなパターンがあります。
時下というのは一年中使用できる時候の挨拶ですが、具体的に「セミの声に暑さを感じる今日この頃」などという書き出しでも一向に構いません。ネットなどで調べ、好みの文章を探せばいいでしょう。
続いて上司の定年退職に触れます
挨拶の定型文に続いて本論に入ります。これがパート2の部分です。
「さて、◯月◯日をもちまして定年退職される由」から入るのが自然でしょう。この手紙が定年退職する上司へのお礼、感謝であることをはっきりさせるものです。結婚や出産、転職などで退社する上司に対しても十分通用する書き方です。準定型文と考えて差し支えありません。
次に、感謝の気持ちを伝えます
上司にお世話になったことへの感謝を表明する部分です。「在職中は公私にわたり大変お世話になりました」とすれば準定型文になります。これでも問題はないのですが、できれば思い出に残るエピソードなどを付け加えたいところです。
「思い起こせば、◯◯工業様への納期が大幅に遅れそうになったとき、◯◯様のおかげで苦境を乗り越えることができました。あの折りは本当にありがとうございました。いずれ、私自身も部下のミスをカバーできる能力を身につけたいと思っております」といった具体例があればより心に残る内容となるでしょう。
最後は上司や自分の将来を記します
定年退職は人生の終焉ではなく、新しい門出です。過去を振り返るだけではなく、将来についても触れておくべきです。
簡単なものでは「今後のご健康とご活躍をお祈りします」でもいいでしょう。「これからは第二の人生を精いっぱい楽しんでくださることを願っています」というのもあります。
締めの挨拶はもう一度定型文で
最後は締めの挨拶です。「末筆ながら皆様のご健康とご多幸をお祈りします」に「敬具」を付け加えて完成です。これも典型的な定型文です。
書き終わればじっくり読み返し、誤字や脱字をチェックします。全体の文字量は便せん1枚に納めるようにします。例外はありますが、長すぎると冗漫になり、心に残りづらくなります。
ご苦労さま・お疲れさまはNG
「ご苦労さまでした」は、ビジネスマナーでは目下の人に対する言葉とされています。見解の異なる意見もあって必ずしもそうとは断定できないのですが、問題のある用語は使わないに越したことはありません。「お疲れさまでした」も同様です。
「ありがとうございました」や「お世話になりました」で十分です。
まとめ
定年退職する上司へ感謝の手紙を贈りましょう。
メールよりも手紙で
手紙の内容を五つのパートに分ける
最初の挨拶は決められた定型文で
続いて上司の定年退職に触れます
次に、感謝の気持ちを伝えます
最後は上司や自分の将来を記します
締めの挨拶はもう一度定型文で
ご苦労さま・お疲れさまはNG