定年 した 後 の暮らしにおいて最も気になるのが生活資金です。多くの場合、退職金やこれまでの貯え、そして年金がその財源になりますが、たとえそれが十分であっても生活がピンチに陥る可能性はあります。そしてその原因は今の生活に端を発していることが多いものです。
定年後最大のリスクは身についた「生活メタボ」
定年退職を迎えるときの経済的準備
定年を迎えても再就職するなら、以後も一定の収入が確保できますが、完全無職の状態になるとすれば経済的に困らないように生活設計をする必要が出てきます。
この場合、月々の生活費のような中長期的なコストより、まず目先の出費対策を考えることが先決です。退職後はかなりまとまった額の出費がかかってきます。
その主なものが、健康保険、住民税、年金支払いの3つです。このうち健康保険は勤務先の健保組合に2年間まで任意継続加入することができますが、全額自己負担となるため国民健康保険に切り替え加入したほうが負担が軽くなる場合もあります。
ただし扶養家族がある場合は任意継続を選ぶべきです。国民健康保険と任意継続の最大の違いは家族の一人一人が保険料を払わなければならないか、世帯主だけが払えばよいかという点で、任意継続なら世帯主だけが保険料を払うことで扶養家族の保健証も発行されます。
さらに別の選択肢として、息子など自分の家族の扶養家族にしてもらう方法がありますが、この場合には息子の会社の健保組合の規定によって条件がある場合がありますので注意が必要です。
次に住民税への対策があります。住民税は前年の所得に応じて課されるため、前年収入が多かった場合には相応の支払いを覚悟しなければなりません。
さらに年金の支払いも忘れてはなりません。配偶者など20歳以上60歳未満の扶養家族がいれば、その分は給与天引きがなくなるので自ら納付しなければならなくなります。
変えられない生活スタイル
退職直後の出費を乗り越えたらいよいよこれからの生活コストをプランニングすることになります。
趣味や生き方を模索することも大切ですが、やはり経済的な面は最も気になることろです。では老後資金はいくらあればよいのか、これには様々な説があります。しかし貯蓄額や年金など経済面だけ見て安心してはならないことがあります。それが現在まで積み重ねてきた生活スタイルです。
特に、これまでの生活水準が高かったなら危険性が高いかもしれません。一般的に生活レベルを収入にあわせて調整することはなかなか容易ではないからです。
また、現役時代の生活の「後遺症」が定年後の生活を直撃することも考えられます。その最たるものが高額な住宅購入などによって定年後まで残ってしまっている住宅ローンです。
また、ローンと同じく月々の支出負担となるのが任意保険です。補償を手厚くしようとして過剰な保険に加入していると今後は支出サイドの天秤にとって大きな重しとなってしまいます。
また日々の買い物にも不要不急のまとめ買い傾向やまだストックがあるのに買ってしまう無駄買い傾向といった問題が見られるかもしれません。
何よりも負担がかかること
積み重ねてきた生活スタイルがもたらす影響は健康状態にもあらわれます。外的なストレスや環境によるものもありますが、喫煙、飲酒、美食傾向、運動不足など生活習慣は不健康を招きます。
せっかく経済的な備えに注力しても、不健康がそれ以上の医療関連コストを要求する可能性もあります。反対に経済的な備えが決して十分ではなくても健康さえ保てれば、むしろそのほうが「経済的」な生活を送れる可能性があります。
体型もさることながら、まず生活スタイルがメタボ化していないかを点検するべきです。生活メタボこそが不健康の原因であり、不健康こそ何よりも負担のかかることだからです。
自分をリセットする好機
定年後で重要なのが、一度自分をリセットすることです。リセットによって過去を返上し裸の個人に戻れるかどうかが問われます。はじめは苦労しても、リセットをやりとげれば、そこから新たな人間関係や生活スタイルを始めることができます。
現役時代に積み重ねてきた地位や実績も、定年後は落とすべき体脂肪と割り切り、断捨離という有酸素運動によってダイエットをすることが大切です。定年後は生活メタボを改善し、見違えるようなビフォーアフターを自ら体験できる絶好機かもしれません。
まとめ
定年後最大のリスクは身についた「生活メタボ」
定年退職を迎えるときの経済的準備
変えられない生活スタイル
何よりも負担がかかること
自分をリセットする好機