年金の受給開始年齢が65歳からになり、依然実質的な定年が60歳の現在、 退職 後5年間の収入空白期間を自己責任で乗り切ることが求められる時代になりました。すでに希望者を65歳まで継続雇用することが企業に義務化されていますが、将来の 定年 はどうなっていくのでしょうか。
定年退職75歳オーバー時代はやってくるのか!?
65歳は若手といわれる時代に
昭和の頃の50代、60代と比べると今は見かけ年齢も精神年齢も7掛け程度まで若くなったといわれます。精神年齢が成熟しないのは問題でもありますが、心身ともに老いにくくなっているのだとしたら、世の高齢化に自然と適応している証といえるかもしれません。
ともあれ、昔も今も定年が来れば実感年齢は別として引退しなければならないのが決まりです。しかし、65歳という年齢はいまや高齢というイメージとはほど遠いものとなりつつあります。実際、70代、80代で現役のビジネスリーダーは世に少なくありません。
また、農業のような慢性の後継者不足で年齢構成の新陳代謝が進まないような業界では特に、65歳といえばまだまだ働き盛りの若手という見方さえされるのが今の時代です。
定年イコール引退ではない
定年とは会社によって決められるものではなく、能力の限界を感じたとき自ら決めるべきもの、という意識が高まってきています。
まだまだ十分に若い今の60代は、現役続行能力はいささかも衰えていないばかりか、その豊富な経験や円熟した能力は、現場にとってもまだ欠くことのできない戦力として頼られることも少なくないからです。
また、定年で退職する場合でも、それまでの職場から離脱するだけで、新たに別の仕事を始めるバイタリティーもたっぷりと残っています。今の60代はかつてより現役志向も強く、定年という就業規定による線引きと自ら潮時を自覚する時期とのギャップは拡大しているといえます。
定年を短縮するという考え方
かつて55歳とされていた定年年齢は現在、60歳が下限となりました。ただし60歳以上であれば上限は定められていません。
とはいえ、伝統の技術を受け継ぐ職人や芸術家などでこそ多くの現役の高齢者が存在するものの、一般的な企業の従業員で70歳を越えてなお現役という例はごくわずかです。
一方、スポーツ選手やある種の肉体労働者などの場合は現役期間が短いものです。しかし彼らは引退後にセカンドキャリアをスタートさせることが多く、稼ぎ手として、あるいは社会にかかわる者として現役を保ち続けていることが少なくありません。
そもそも定年というものは、ひとつの企業に継続して勤務した場合の勤続年限を定めたものに過ぎません。そこにはかつての日本的経営の象徴である、年功序列・終身雇用という考え方の名残りがあります。そしてこのことは、「社内失業」のような弊害を生むことにもつながっています。
これは雇用するほうされるほう双方にとって非生産的であると同時に、働き手にとっては現役寿命を定年以上に延長できないことにも直結します。
そこでこのような状況が生まれることを防ぎ、ひとりひとりがより長い現役寿命を維持できるようにするために、むしろ定年を40歳程度に短縮すべきではないかという提言も現れました。
これは40歳程度をメドにキャリアを充実させ、その経験を欲する別の組織でさらにスキルを磨いていくことを繰り返し、自らの人材としての現役性を維持することを目指す考え方です。
しかしもちろんこれにはまだまだ多くのハードルが存在します。
先の見えない時代の定年制度
名だたる企業の倒産や業績不振によるリストラ、買収合併などの企業戦略による人員整理など、もはやどんな大企業でも3年先でさえ不透明なのがこれからの時代です。
一方で加速する少子高齢化による人材難のなかで、定年を70歳まで引き上げ、ベテラン人材を有効活用しようとする企業が現れています。
定年はもはや雇用期間の保証にはなりえません。いつまでも求められる人材でありつづける自分を維持するための時間的目標とすべきもの、今後はそれを、定年というようになる可能性があります。そうして更新された将来の「定年」は、75歳を越えているかもしれません。
まとめ
定年退職75歳オーバー時代はやってくるのか!?
65歳は若手といわれる時代に
定年イコール引退ではない
定年を短縮するという考え方
先の見えない時代の定年制度