財産を残して亡くなったと思っていたら、負の財産、負債です、こちらが多かった場合どうしますか。大きな負の財産を相続すると、自分の相続人にまで負の財産を残すことになります。負の相続 財産 を回避する相続 放棄 という手段があります。
相続放棄について考えてみましょう。
相続発生時の多額のマイナス財産回避のための相続放棄(前編)
相続放棄が考えられる場合は
夫が亡くなった瞬間、妻や子供たちなど、法定相続人に相続が発生します。相続が発生するということは、亡くなられた方の資産や、一部を除いた権利を法定相続人が受け継ぐことになります。
受け継ぐ財産が、プラスの財産ばかりならいいのですが、マイナスの財産が大きい場合もあります。返済可能な負債の金額であれば、返済すればよいのですが、とても返済できる金額ではないという場合は困ります。
また、プラス財産をめぐって、相続人間でトラブルが起きたりする場合もあります。
負債を相続したくないとか、相続問題と関わりになりたく場合など、相続放棄をすることにより、このような状況からは逃れることができます。もちろん、もめ事がなくても、負債がなくても、プラス財産がたくさんでも、相続放棄はすることができます。
相続放棄はどうすればいいのでしょうか
「私は相続を放棄します」と言ったとしても、これは全く相続放棄としての効力はありません。債権の取り立てから逃れることもできません。法定相続人であり続けているのです。
法的に相続放棄を認めてもらわなければいけません。家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。この用紙は、もちろん裁判所でもらえるのですが、裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。記載内容もそんなに大変ではありません。
「相続放棄申述書」と、死亡された方の除籍謄本や申述をする相続人の戸籍謄本など、必要書類を一緒に家庭裁判所に提出します。その後、相続放棄が認められれば、「相続放棄申述受理通知書」が交付されます。ここで初めて相続放棄が効力を発します。
亡くなられた方の債権者から負債の請求があった場合、この「相続放棄申述受理通知書」を提示すれば、債権者は、あなたに請求することはできなくなります。もう法定相続人ではないからです。
相続放棄はいつでもできるのでしょうか、また、撤回できるのでしょうか
相続放棄は相続が発生する前にはすることができません。例えば、父親が亡くなってもいないのに、妻や子供達が前もって放棄をすることはできないということです。
亡くなった方に配偶者と子供がいるときに、子供が相続放棄をすると、配偶者と亡くなった方の親が相続人となります。
もし、親が他界していたり、相続放棄をしたりすると、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人となります。このように気がつかないうちに、相続人になっている場合があります。
ですから自分が相続人になったと知ったときから3カ月以内に「相続放棄申述書」を家庭裁判所に提出し、相続放棄の手続をします。
例えば、長年別居状態にあって、御主人が亡くなった後に、債権取り立てが奥さんにあった場合、負債の存在を全く知る状況ではなかったとか、特別な理由があるときは、3カ月以後でも、相続放棄が認められる場合があります。
一度相続放棄が認められると、原則的に相続放棄の撤回はできません。ただ、脅迫されたり、詐欺によって相続放棄した場合は、撤回できる場合があります。撤回可能な期限がありますので、早目に手続をすることをお勧めします。
まとめ
相続発生時の多額のマイナス財産回避のための相続放棄(前編)
相続放棄が考えられる場合は
相続放棄はどうすればいいのでしょうか
相続放棄はいつでもできるのでしょうか、また、撤回できるのでしょうか