身近な人が亡くなったとき、大なり小なり「財産」整理という事態に直面することになります。それはプラスの財産かもしれませんが、マイナスの財産、負債である可能性もあります。
突然やってきたマイナスの 財産 を 放棄 したい、そんな時のために手続きや 書類 作成についてお伝えします。
気持ちよく財産整理しよう。「放棄」に欠かせない書類とは
▽ 目次
2種類ある!財産放棄
財産放棄には、二種類あります。「遺産放棄」と「相続放棄」です。どちらも財産を放棄することを示しますが、手続きや社会的な意味合いについては大きく違ってきます。
どちらの手続きをするかの前に、まずは故人の全ての財産が自分にとって相続する価値があるものなのか、しっかりと調べることからはじめましょう。
相続人の同意があれば、希望通りにわけられる「遺産放棄」
「遺産放棄」とは、主に特定の遺産について放棄することをいいます。相続人が集まった席で、特定の人に遺産を譲ったり、自身の放棄を宣言することを指します。この話し合いを「遺産分割協議」と呼びます。裁判所など、公的な機関での手続きの必要はありません。
つまり相続人が集まって、遺産について話し合うということです。そのわけ方も相続人それぞれの状況に応じて、均等である必要もありません。
例えば親が亡くなった場合なら、実家は兄、妹は預金、弟は株というようなことが可能です。しかも、1か所に集まって話し合う必要もなく、極端な話になると電話でもいいとされています。ただし、絶対に必要なことがあります。相続人全員の同意です。これは、不可欠となります。
「遺産分割協議書」があれば、「遺産放棄」も安心
「遺産放棄」は、公的な文書を作成して公的な機関へ届け出をしなくてはならない、という規定はありません。ただし、口約束になると、将来面倒なことが起こらないとは限りません。気持ちよく遺産整理を行うために、遺産の分け方を記した「遺産分割協議書」を作成することをお勧めします。
「遺産分割協議書」はそもそも法律に定めがないので、既定の書式があるわけではありません。しかし、実際に銀行や法務局で相続の手続きをする時には、遺産分割協議の内容を示し、相続人全員が同意しているとわかる書類が必要になります。
弁護士事務所や登記事務所など専門家に依頼することもできますが、個人での制作も可能です。少なくとも「遺産分割の中身」を記し、それぞれの「相続人の名前」「相続人の住所」「押印」そして作成した「年月日」などを記載した書類を作成することが大切です。
法的主張ができる「相続放棄」
「相続放棄」とは、相続の権利そのものを放棄してしまうことをいいます。相続放棄の手続きは、家庭裁判所でしかできません。権利そのものの放棄をするので、特定の遺産は相続しないけれど他の遺産は相続するということはできません。
つまり借金は放棄するけれど、土地や預金などのプラスの財産は相続する、ということは認められないのです。相続放棄ができる期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時から三カ月」と定められています。
「相続放棄」の手続きは?
「相続放棄」を決めたら、「相続放棄の申述書」「戸籍謄本」「印紙」「切手」を故人の住民票がある場所を管轄する家庭裁判所に提出します。他にも相続人であることを証明するために、戸籍などの書類が必要となる場合があります。
書類に不備がなければ、「相続放棄の申述についての照会書」が届きます。相続放棄が間違いなく自身の意思によるものか、などを問う簡単な質問書のようなものです。そして相続放棄が認められると、「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。
しかしこの決定は、負債の債権者に通知がいくわけではありません。「相続放棄申述受理通知書」を見せればいい場合もありますが、家庭裁判所で「相続放棄申述受理証明書」が必要なときもあります。
この手続きが終了すれば、同じ相続人や債権者はもちろん、故人と利害関係のあった他人にまで「相続放棄しましたので、遺産は何も受け継ぎません」と言い切れます。
故人のためにも、気持ちよく財産整理をしよう
身近な人が亡くなったら、さまざまな思いが沸いてくるでしょう。故人の身辺を整理するには、やるべきことが山のようにあります。
しかし、財産の把握は急いでください。もしマイナスの財産があったら、「相続放棄」には時間が限られています。「相続放棄」、「遺産放棄」どちらを選択するにしても不要なトラブルに巻き込まれないために、書類を作成するなどしっかりと手続きをしましょう。
まとめ
気持ちよく財産整理しよう。「放棄」に欠かせない、書類とは
2種類ある!財産放棄
相続人の同意があれば、希望通りに分けられる「遺産放棄」
「遺産分割協議書」があれば、「遺産放棄」も安心
法的主張ができる「相続放棄」
「相続放棄」の手続きは?
故人のためにも、気持ちよく財産整理をしよう