通夜 と 告別式 、いったい どちら に出るのが正しいのかと悩むことはありませんか。親族であれば告別式、一般参列者であれば通夜という漠然とした境界線はあるものの、これが絶対に正解ということではありませんし、地域によっても風習はかなり違います。詳しく解説しましょう。
通夜と告別式、どちらに出席するのが正解なの?
どちらか都合の良いほうに出席してよし
通夜はそもそも夜通しで故人を囲むことです。そして告別式は、故人との最後の別れの儀式です。
このように性格が違うのですが、通夜が「通夜式」、つまり僧侶がお経をあげて参列者が焼香する儀式を中心とするようになった結果、どちらも内容は同じようなものになりました。今や通夜と告別式の違いといったら、弔辞があるかないかくらいでしょう。
日本の多くの地域、とくに都市として発展している場所で「通夜に出るのは一般の参列者、告別式に出るのは親族」という了解があるのは、何ら宗教的な事由によるものではありません。
忙しい現代人のスケジュールを考えれば、忌引をとれないような関係性の薄い人は夜に弔問したほうが、弔問客にとって都合がいいからです。
逆にいえば、告別式に出るほうが都合がよいなら、そうしても何ら差し支えありません。通夜と葬儀、両方に出ても構わないのです。
通夜のない地域もある
東北の一部などには、通夜のない地域が存在します。ないといってもその実態は、会場で催すような「通夜式」がないというだけのことで、夜通しみんなで故人を囲むという点では本来の通夜と同じです。
納棺の儀式が終われば、通夜料理が並ぶことでおもむろに通夜が始まるため、「通夜の始まる時間」はありません。とくに近親者であれば、納棺で故人の旅支度を手伝うため、礼服を着ていないことすらあります。受付を設けないので、この時点で香典を持参する人があまりいないのも特徴です。
不幸があったら通夜に参列するのを習慣としているような人は、この風習に驚くでしょう。こういった地域では知らせに通夜の時間や場所を書かないので、もしそういったお知らせ状にゆきあたったら、告別式に参列するのが無難です。
通夜が火葬の前とは限らない
青森県と秋田県の一部に、火葬をしてしまってから通夜をする地域があります。この風習に慣れない人は、通夜ですでに骨箱へ納められているのをみて驚くことでしょう。
告別式よりも火葬が先という地域が山間部を中心に点在しており、そういった場所では「お顔を見たいから通夜へ行く」という人も多いものです。最後に対面したい人は、注意しましょう。
あえて通夜をしないスタイルも出てきた
高齢化が進み、90代などの長寿が当たり前になってきました。すると故人の友人らはほとんどが鬼籍に入っており、喪主も退職していて会社関係などの一般会葬者が少ないというケースが増えています。
一般会葬者があまりいないような場合、通夜をせず告別式だけをするというスタイルを選べるようになってきました。
「一日葬」「ワンデーセレモニー」といった名称で、各葬儀社がプランを打ち出しています。この簡略化は現代人の合理的な考え方に沿うもので、これからだんだん広まってくることが予想されます。
このような場合は、もちろん通夜に出席することはできませんから、お知らせ状に従って告別式に参列するのが正しいでしょう。
遺族の意向を汲むのが大事
通夜と告別式、どちらに出席しようかと迷うような場合は、ひとまずお知らせを確認しましょう。通夜式と告別式の開始時間と場所が書かれていれば、自分の都合に合わせ、どちらに参列してもよいのです。告別式の情報のみだったら、特別な事情がない場合は告別式へ参列しましょう。
通夜の情報がないケースでも、どうしても夕方にしか都合がつかないといった場合がありえます。そんなときには遺族に連絡を取り、告別式前日に伺ってもよいか確認を入れましょう。遺族へ連絡する手段がない場合は、告別式をする式場へ連絡を入れ、ことづけてもらいます。
遺族としては、「前日を近親者だけでゆっくり過ごしたいから、通夜をしない」という選択をしたのかもしれません。そういった場合は告別式前の弔問を基本的にお断りしていることがあります。
決して無理を通さず、後日香典を持参するといった配慮が必要です。遺族の意向を何よりも重んじることを、肝に銘じましょう。
まとめ
通夜と告別式、どちらに出席するのが正解なの?
どちらか都合の良いほうに出席してよし
通夜のない地域もある
通夜が火葬の前とは限らない
あえて通夜をしないスタイルも出てきた
遺族の意向を汲むのが大事