異臭漂う ごみ屋敷 や汚部屋の住民というと、「どうしてそんなふうになってしまうのか?」「理解できない」と感じている人も多いかもしれません。しかし、身近にごみ屋敷の住人がいたら、注意深く様子を見てあげてください。
片付けられないことは、重大な 病気 のサインかもしれません。
ごみ屋敷の住民を憎むなかれ!もしかしたら病気かも
▽ 目次
身なりも構えないならセルフネグレクトを疑う
引きこもりがちで、歯も磨かない、食事もろくにとらない、ずっと寝間着で過ごすなど、部屋と同様にその人自身も不衛生な状況に陥っているなら、それは「セルフネグレクト」という状態かもしれません。
セルフネグレクトは「自己放任」と訳され、「ゆるやかな自殺」という別名もあるほど危険な状態です。
セルフネグレクトの原因は人によりさまざまですが、親しい人の死など喪失経験があった場合が最も危険といわれています。気分がふさいで引きこもりがちになっているうちに、生活を維持するための行為が億劫になってしまうのです。
いずれ健康を損ない、果ては孤独死するというケースも報告されています。
言動に違和感があれば認知症を疑う
部屋の中と同じで、言うこともやることも散らかってきたかも……?と思ったら、一度認知症の検査を受けてもらった方がいいかもしれません。この場合、本人はいたって元気で、いつも通りにふるまっているつもりでしょう。生活するための意欲があるところが、セルフネグレクトとは違います。
買ったことを忘れて何度も同じものを購入してしまう、しまう場所を忘れてなんでも置きっぱなしにしてしまうなど、誰でもあるようなことから始まるため、本人も周囲も症状に気づきにくいかもしれません。
久々に帰省したお子さんや訪問した友人から違和感を指摘されたら、周囲の人は楽観視せず注意深く見守るようにしましょう。
部屋以外に何の問題もないならADHDを疑う
身だしなみはきちんとしていて、会社員としては優秀なのに、なぜか汚部屋……というタイプの人はADHDという障害を持っているかもしれません。
ADHDは「注意欠陥・多動性障害」と訳され、集中力がなくじっとしていられないのが特徴です。根気よく物事を分類したり、掃除したりすることに向いていないため、いつの間にか散らかってしまうのです。
こういった人たちは、なまじ他がうまくいっているだけに「どうして自分は普通の人のように片付けができないのか」と自分を責めがちです。そこから鬱を発症してしまう場合もあるほどなので、周りの人は早めに手を差し伸べたほうがいいでしょう。
ADHDの人たちはただ落ち着きがないだけなので、片付けの具体的な手順が示されれば、それに沿ってやり遂げることができます。また、誰かが一緒にいてあげられると脱線行為も減るため効果的です。部屋がきれいになるたびに自信を取り戻せ、憂鬱な気分は去ることでしょう。
けっこう神経質なら強迫性障害を疑う
どうしてもごみを捨てられない人というのが、世の中には存在します。何度点検しても、ごみの中に大切なものが含まれているような気がして捨てられないのです。単に片付けられない、片付ける気力が起きないのとは違い、物そのものに支配されてしまうのが特徴です。
一日に手を何度も洗ってしまう洗浄脅迫などと同じで、どんな小さなものも捨てられないという症状は強迫性障害の一つです。捨てられないだけでなく、収集癖と合わせて発症することもあり、そうなるとあっという間にごみ屋敷化してしまうでしょう。
強迫性障害を持っている人は、自分のこだわりを捨てることが困難です。よって身近な人が説得にあたったり、一緒に片付けることを促したりしても徒労に終わることが多いでしょう。専門家の指導のもと、治療をするのが重要になってきます。
決めつけることなく、早めに病院へ!
以上、ごみ屋敷の住人に疑われる疾患や障害について紹介しましたが、ごみ屋敷の住人が必ずいずれかに当てはまるということではありません。ただ、病気や障害の場合は一刻も早く専門家へ相談したほうがよいため、意識して見守りを行いましょう。
病気が疑われるときも「あなたは〇〇だ」などと初めから決めつけることなく、まずは病院へ連れていくことが必要です。
まとめ
ごみ屋敷の住民を憎むなかれ!もしかしたら病気かも
身なりも構えないならセルフネグレクトを疑う
言動に違和感があれば認知症を疑う
部屋以外に何の問題もないならADHDを疑う
意外にも神経質なら強迫性障害を疑う
けっこう神経質なら強迫性障害を疑う
決めつけることなく、早めに病院へ!