借金を抱え、返済の見込みがなくなってしまったときなどに、選択肢の一つとなるのが自己 破産 です。この自己破産については、誤解されている部分がかなりあるのをご存知でしょうか。
今回は、誤解しがちな5つの事柄について解説します。
破産のことを誤解していませんか?自己破産のウソ5つ
▽ 目次
「自己破産したら、とにかく今住んでいるところを追い出される」はウソ
自己破産をすると家を追い出されるというイメージがあるかもしれません。しかし、賃貸住宅に住んでいる場合は、住居が自分の財産ではないため追い出されることはありません。そのまま住まいとして居続けられるので、自己破産したことを周囲に気づかれずに生活することが可能です。
もちろん、家賃を大幅に滞納しており、これからも納付するめどが立たないのであれば話は違います。賃貸契約の内容や大家との話し合いにより、立ち退きを勧告されてしまうこともあるでしょう。
「自己破産したら手元に一円も残らない」はウソ
破産をすれば全てを失い、手元に現金は残らないと思い込んでいる人は多いかもしれません。しかし、一円も残らなければ、破産したそばからまた借金をしなければ生きていけなくなるでしょう。
そのような状況に陥らないためということもあり、裁判所の基準を超えない範囲での財産は、没収されません。
裁判所の基準では、自己破産の場合は20万円を超える価値のある財産が没収されることになっています。つまり、20万円以下の預貯金があれば、それは手元に残るのです。大家族などでなければ、1ヶ月程度は食べつなげる金額ですね。
なお、預貯金ではなく現金であれば、99万円までは手元に残すことができます。
お金以外のものでいえば、最低限必要な家財は人生再建のためにも取り上げられません。20万円以下の価値とみなされる車などについても、没収されません。表向きは通常の暮らしができるのです。
「自己破産したら永遠にクレジットカードが作れない」はウソ
自己破産すれば信用情報センターの事故情報として記載されるので、クレジットカードが作れなくなります。ただし、カードが作れないのは情報が載ってから長くても10年ほどです。期間が過ぎれば、またカードを作ることができます。
ただ、破産の理由がカード借金であった場合は、可能か不可能かに関わらず、そのまま永遠に作らないほうが無難でしょう。
「自己破産したら払わなければならないお金は一切なくなる」はウソ
自己破産すれば、借金はすっかり消えてしまいます。しかし、どうしても払わなければならないものがあります。そう、納税は国民の義務です。税金の滞納分を払わなければなりませんので注意しましょう。
税金の分納や猶予の相談をしたいと考えたら、自治体の窓口へ相談に行きましょう。破産の手続きを弁護士などに依頼している場合は、同行してもらえれば話がスムーズです。
なお電気やガスなどの公共料金については、破産時に処分した財産により優先的に支払いを済ませるケースもありますが、その場合を含め、免除にはなりません。また裁判によって発生した賠償金などについても免除されません。
「自己破産したら年金も差し押さえられる」はウソ
破産状況に陥っても税金を支払わなければならないのは辛いかもしれませんが、公的機関はまた、あなたを守ってもくれます。
破産したら、高齢者の命綱である年金の受給が停止してしまうのではないかと恐れるかもしれませんが、国民年金、厚生年金、共済年金は変わらずに受給できますので、ひとまずは安心です。ただし個人年金は資産ですから、解約の対象になりますので注意しましょう。
年金のほか、生活保護の受給にも影響がありません。このことから、自己破産後は生活保護を申請したいと考える人も多いようです。
審査は厳しいものですが、心身状態が悪い、高齢であるなど働ける状況でなければ、生活保護の申請は一つの手段です。破産時にお世話になった専門家と福祉事務所に出向いてみましょう。
まとめ
破産のことを誤解していませんか?自己破産のウソ5つ
「自己破産したら、とにかく今住んでいるところを追い出される」はウソ
「自己破産したら手元に一円も残らない」はウソ
「自己破産したら永遠にクレジットカードが作れない」はウソ
「自己破産したら払わなければならないお金は一切なくなる」はウソ
「自己破産したら年金も差し押さえられる」はウソ