一家の大黒柱が亡くなった時、残された家族にとって、その後どうやって生活していくかというのは大きな問題です。ここでは、厚生年金に加入していた人が亡くなった時、その遺族が受け取ることのできる年金の一つである、 遺族 厚生年金 について詳しくお話します。
遺族厚生年金の受給条件と金額
遺族厚生年金とは
遺族厚生年金とは、厚生年金の加入者が死亡した時、その遺族が受け取れる年金のことです。国民年金に加入していれば「遺族基礎年金」をもらうことができますが、それに加えて受け取ることができます。
受給条件
次のいずれかの条件を満たせば、受給することができます。
- 厚生年金の加入者が死亡した時、または加入期間中の傷病により、初診日から5年以内に死亡した時。ただし、死亡した人の厚生年金の保険料納付期間が、国民年金加入期間の3分の2以上あることが前提。
- 死亡した人が、老齢厚生年金の受給中、または資格期間を満たしていること。
- 障害厚生年金(厚生年金加入期間中に発症した病気や怪我などが原因で、障害の状態となった時に受け取れる年金のこと)1,2級を受け取ることができる人が死亡した時。
支給対象者
支給の対象となるのは、死亡した人によって生計が維持されていた家族に限られます。具体的には、妻と子、孫、さらに55歳以上の夫、父母、祖父母で、この順番が支給の優先順位となります。
子と孫に関しては、18歳になる年度の年度末を経過していないこと、または20歳未満で、障害年金1,2級に該当することが条件になります。
支給期間
- 妻に関しては、夫の死亡時30歳以上、もしくは子がいれば、夫が死亡した日の翌月から一生涯受け取ることができます。30歳未満で子がいない場合は、支給期間は5年間となります。
- 妻がおらず、子または孫が受給する場合、死亡した日の翌月から18歳になる年度末まで受給できます。障害等級に該当する場合は20歳まで支給されます。
- 死亡した時点で55歳以上である夫、父母、祖父母が受給する場合は、60歳から一生涯支給されます。
給付金額
給付される金額は、死亡した人の平均月収や、厚生年金への加入期間などをもとに計算されます。「中高齢の加算」という制度もあり、夫が亡くなった時に40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻が受給する場合は、65歳になるまで、年額585,100円が加算されます。
また、子がいる妻の場合でも、遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給しており、子が18歳到達年度の末日に達して遺族基礎年金を受給できなくなった時も、同様に加算されます。この加算制度は遺族基礎年金にはない制度であり、厚生年金の手厚さが感じられます。
平均的な受給金額は、例えば65歳の女性の場合、自身の老齢基礎年金が約4~5万円、夫の遺族厚生年金が7万円ほどで、合計で12万円ほどという人が多いようです。
自分がどのくらい受給できるのか、あらかじめ知りたいときは、年に1回送られてくる「ねんきん定期便」や、日本年金機構のホームページ(ねんきんねっと)で調べることが可能です。
それが難しい場合は、年金事務所に問い合わせるという方法もありますが、夫の死後に受給予定金額を調べる場合、夫の委任状と、妻自身の本人確認書類が必要になります。
仮に平均的な金額と言われている12万円ほどが毎月支給されたとしても、生活様式によってはそれだけで生活費をすべて賄うことは難しく、マイナスになってしまう場合も多いようです。
いざという時に慌てることの無いよう、あらかじめ受給金額を知り、必要な蓄えを備えておくことが重要です。
まとめ
遺族厚生年金の受給条件と金額
遺族厚生年金とは
受給条件
支給対象者
支給期間
給付金額