介護 労働の 現場 は、低賃金のうえに精神的・身体的負担が大きいものです。そのため常に人材不足に陥っている現場の1つであるとよくいわれます。どのような苦労があるのか、介護労働に興味を持つ人のためにも、具体的にまとめました。
介護現場は困難もやりがいも、他の仕事の数十倍!
新人最大の難関は汚物処理
介護を必要としている寝たきりの年輩者は、ほとんどが排せつ介助を必要としています。洗面所へ行くまで手を貸してあげれば自分で用を足すことができる人でも、ときどきは間に合わないことがあるのです。
ずっとおむつを当てている人ももちろんいますし、認知の症状から汚物をもてあそび、まき散らしてしまう人さえ存在します。
汚物を見ることには慣れるほかありませんが、新人には必ず身に着けるべき心構えがあります。それは、自分で自分の排せつ物を処理することができなくなった利用者の心情をおしはかることです。
新人教育で、実際におむつをつけて排泄するようにという宿題が出されることが多いのは、そのためです。
新人は家に帰って布団を敷いたらおむつをつけて横たわります。おねしょをしないようにしつけられた身体にとって、横たわったまま排泄をするのはとても難しいことです。そして実際に排泄した後の心地悪さを、新人は身をもって知ります。利用者と、悔しさや不快感を共有するのです。
人と密接にかかわる関係が暴力を生み出すことも
介護は、利用者を身体的に手助けすることが主な仕事です。密着の度合いは家族よりも高く、円満なコミュニケーションなしに良い介護はできないといっていいでしょう。
しかし、利用者が認知症を患っていたり、相性が極端に悪かったりすると、職員の忍耐力次第で暴力が生まれてしまうことがあります。
最悪の結果の1つが、2014年に起こった川崎市の老人ホーム転落死です。当時の職員は利用者をベランダまで連れ出し、そこから投げ落とすなどして転落死を装いました。それを3件も続けたのですから、恐ろしいことです。
この事件は本当に最悪のケースながら、さまざまな施設での暴言や暴力行為が次々に報告され、深刻な問題となっています。
どのような理由であれ、暴力は許されないことです。しかし、利用者のケアとともに、ストレス過多な現場で働く介護スタッフのケアも必要なことは明らかでしょう。スタッフの心の健康を保つための制度づくりが、今叫ばれています。
必ず腰痛がついて回る
介護の現場を数年経験すると、どんなに若い人でも腰痛を訴えるようになります。人の身体を支える仕事が主ですから、どうしても腰に負担がかかってしまうのです。腰痛予防として、まだ腰痛のないスタッフにもコルセットをつけることを呼び掛けている施設もあるほどです。
しかしここ数年、介助は身体の使い方によって疲れないようにすることができるという考え方が広まってきました。
きっかけとなったのが、古武術介護を提唱している岡田慎一郎氏の書籍やDVDです。岡田氏は、理学療法士であり、介護福祉士でありながら武術をたしなみ、その手法を介助方法に活かしているのです。
古武術のほか、合気道やキネティクスの論理を介護に取り入れ、なるべく少ない力で介護を行う方法が模索されているところです。プロが手法を編み出せば、在宅介護をしている家族も参考にできることでしょう。
人に感謝されることがやりがい
これまでみてきたように、身体的にも精神的にも辛い印象のある介護の仕事ですが、そのぶん、やりがいはかなりのものです。パソコンにばかり向かってきた人が介護業界に転身すると、「こんなに人に感謝される仕事は初めて」と、すっかりはまってしまうことが多々あります。
また、ブラック企業といえなくもない会社で、昼夜なく働いてきた営業マンなどが介護へ転職すると、「今までの仕事よりも圧倒的に楽」と感じられるケースが多いようです。
勤務時間は長めながらもきちんと定時があり、ノルマに追われることのない環境で、やっと息をつけるといったところなのでしょう。
人と密に接するからこその大変さもやりがいもある介護現場は、課題をたくさん抱えています。しかし、これから介護大国となる日本にとって、立ち向かい乗り越えるべき課題であることは確実です。
まとめ
介護現場は困難もやりがいも、他の仕事の数十倍!
新人最大の難関は汚物処理
人と密接にかかわる関係が暴力を生み出すことも
必ず腰痛がついて回る
人に感謝されることがやりがい