長い間年金を納付して、いざ受給される側になったとき、いったいどれくらいもらえるものなのか興味のない人はいないでしょう。実際に手続きをすれば正確な支給額は分かるのですが、老後の生活設計をする上で、 年金 受給額 の大まかな数字をあらかじめ知っておくのは大切なことです。
あなたの年金受給額はこれだけです。
分かりやすい国民年金
自営業者や学生、無職の人が加入するのが国民年金ですが、この計算方法は簡単です。加入を義務づけられているのは20歳から60歳までの40年間で、月数に換算すると480か月。全額支払っていたとすると、年間に約80万円(厳密には780,100円)支給されます。
納付していない期間があれば、当然のことながら減額されます。計算方法は次の通りです。
780,100 円 × 納付月数 ÷ 480
仮に、半分の20年間(240か月)しか納付してなければ780,100×240÷480で、390,050円となります。
ただし、未払い期間については免除制度もあります。ケースによって全額、四分の一、半額、四分の三免除がありますから、年金課の窓口で尋ねてみるといいでしょう。
厚生年金の計算はかなり面倒
国民年期に比べて厚生年金の計算はかなり面倒ですが、まず基本的な計算方法を紹介しましょう。「平均給与」× 「一定乗率」×「加入期間」というのがそれで、平均給与というのは文字通り会社から支給された給与の平均という意味ですが、これをささっと計算できる人はほとんどいないでしょう。
さらに、単純に平均するだけではありません。過去に支給された給与は現在価値に置き換えられるます。
一定乗率というのは、生年月日によって1.413〜1.000の間で決められます。平均給与が上がった分、この乗率を減らして平均化しているわけです。
加入期間はお分かりでしょう。会社員であった期間とい言い換えてもいいでしょう。
総報酬制の導入
平成15年4月から、厚生年金の支給額を計算するのに総報酬制が導入されるようになりました。それ以前は月給だけを計算していたのですが、ボーナスを含めた年収を12で割って、それを平均給与としたのです。
したがって、それ以前の平均給与は月給だけを計算し、それ以後はボーナスを含めた年収を月平均にしたものから平均給与を割り出す必要があります。
そして、この2通りの平均給与からさらにトータルの平均給与を割り出すわけです。
年金のスライド制
これまでに説明した受給額の計算方法はあくまでも基本に過ぎません。ご存じのように近年は少子高齢化が進み、現在納付金を納めている人がどんどん減っています。
反面、受給者は増加し、さらに平均寿命が延びて年金の財源を著しく圧迫しています。 賃金や物価が年々上昇しているのに、年金の計算方法が据え置きというのも問題があります。
そこで、スライド制という考え方が登場します。社会情勢に応じて年金水準を調整しようとするものです。
マクロ経済スライド制
平成17年4月まで、このスライド制は物価スライド制という方法を採用していました。しかし、それでは社会を取り巻く情勢に対応できないことが指摘され、新たに導入されたのがマクロ経済スライド制です。
賃金や物価だけにとどまらず、年金受給者の急増、現役納付者の減少など年金を取り巻くさまざまな問題に対応するように設定されました。
将来は受給者となる予定の現役納付者の年金水準も確保しようというものです。
加給年金制度
これまで紹介したほかにも、加給年金という制度があります。次の条件を満たせば年間に20数万円支給されるというものです。
条件とは次の三つです。
- 納付金を20年以上支払っていること。
- 65歳未満の配偶者、または18歳以下の子供がいる。
- 障害等級1〜2級で20歳未満の子供がいる。
年齢制限があるものは、それを超えれば当然支給は打ち切られます。
さまざまな特例がある
年金にはそのほかにもさまざまな特例があります。20歳を過ぎても自活できない学生に対応した学生納付特例制度、44年間納付した被保険者に対する長期加入特例、60台前半の特例などがそれです。
ひとつひとつ説明すると煩雑になるためここでは省略しますが、受給者の立場になった場合、あらゆる可能性を調べて担当窓口で相談するといいでしょう。
また、前述したように、年金を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。今後、各種の改訂がなされる可能性があるでしょう。こまめにチェックできるようアンテナを張り巡らせておきましょう。
まとめ
あなたの年金受給額はこれだけです。
分かりやすい国民年金
厚生年金の計算はかなり面倒
総報酬制の導入
年金のスライド制
マクロ経済スライド制
加給年金制度
さまざまな特例がある