現代人は昭和の頃と比べ、見た目も精神年齢も若くなっているといわれています。実際、当人の感覚年齢は実年齢の7掛け程度ともいわれます。一方で要介護シニアも存在するなか、健康と生きがいを保っていきいきと暮らす元気 シニア であり続けるにはどうしたらよいのでしょうか。
シニア主導で実現するか1億総活躍社会
何歳からがシニアなのか
シニアの定義には明確なものが存在しません。早くは40歳から、遅くは65歳くらいからなど様々な説があります。
これを民間企業の年齢別割引サービスで見てみると、かつては子供料金や学割くらいしかなかったところに、今では多くの企業が「シニア割り」という設定を加えています。
例えばNTTドコモの場合、シニア割の対象は60歳からですが、全日空では65歳以上です。ところがJRグループになると一気に若返って50歳からすでにシニア割引の対象としています。
このことからもシニアとは客観的な定義がないものだということがわかります。
便宜上の判定は65歳から
シニアを定義するための判断材料になるのが、WHO(世界保健機関)の人口構成データです。これによると15歳~64歳が生産年齢人口とされており、ここにひとつの境界が設けられていることがわかります。
また、わが国の年金給付開始年齢は65歳からとなっています。このことから考えると、便宜上65歳以上をシニアとして分類するのが客観的にも公正なのではないでしょうか。
元気シニアであり続ける条件
いまや65歳以上のシニア人口は全国民の4人に1人となりました。現実社会で近似値65歳の人々を見てみても、まだまだ50代といってもおかしくないほどの外見と活力を保っている人が少なくありません。
事実、彼らの8割近くが元気シニアという統計があり、寝たきりシニアは少数派だということがわかります。そして彼ら元気シニアに共通するのが「現役感」の維持です。
定年延長や嘱託、再就職などはもちろん、新たに自営で仕事をはじめたり、これまでの経験を生かして人にものを教えたりと、いつまでも社会とかかわり社会に必要とされているという実感が大きなモチベーションとなっているようです。
現役感覚の維持は仕事だけが担うわけではありません。趣味でもボランティアでも恋愛でさえも担い手となり得ます。
そこには引退して一線を離れ、隠者のように静かに暮らすのとは対極の、いまなお旺盛でエネルギッシュなシニア像があります。
稼ぐシニアと消費するシニア
雇用延長などでシニアを活用することは、社会保障費を軽減させるなど社会全体にとっても有益です。また、少子高齢化で生産年齢がどんどん減り、人手不足が進行している日本においては、人口の稼働率をアップさせることにも直結します。
一方、消費者としての存在感も無視できません。金融資産を多く持つシニア層が趣味やレジャーに積極的に消費すれば、固定化されていたタンス預金が流動化され社会に還元していくことになります。
ただしそのためには、今後の収支を考慮すると消費を抑制せざるをえないシニア特有の生活防衛心理を少しでもやわらげなければなりません。
スターウォーズ最新作に出演した、ハン・ソロ役のハリソン・フォードは、齢73にして、なんと47億ものギャラを稼いだといいます。このような特殊な例外は除くとしても、シニアでなお収入があるということこそ、彼らの消費行動に安心感をもたらします。
稼ぐシニアは消費するシニアであり活躍するシニアです。そしてシニアの活躍は、彼ら自身のモチベーションであると同時に、ある場合には担い手の少ない労働を担い、ある場合には熟練の経験や技を後進に伝え、それが他の年齢層への裾野の広いサポートにもなっていきます。
今後、売り手市場でますます偏っていく労働市場も移民労力とシニアが支えていくことになるかもしれません。
1億総活躍社会実現の成否は、社会全体のマンパワーにも、指導者にも、旺盛な消費者にもなりうる元気シニアの活用次第なのではないでしょうか。
まとめ
シニア主導で実現するか1億総活躍社会
何歳からがシニアなのか
便宜上の判定は65歳から
元気シニアであり続ける条件
稼ぐシニアと消費するシニア