障害者や障害者を支える親族にはさまざまな税制上の負担軽減策が講じられています。所得税のみならず多岐にわたる障害者控除が存在すると言いますが、どういったものがあるのでしょうか。
さまざまな 障害者控除 についてみてみました。
見落としていませんか障害者控除
障害者控除とは
障害者控除は障害者本人だけでなく、配偶者や扶養親族にも認められ、所得税・住民税・相続税などに適用されます。
障害者本人・配偶者・扶養親族のいずれであっても、給与所得者であれば年末調整時に「扶養控除等申告書」に障害者に該当する方とその障害の状況を記載して提出することで始めて控除が受けられるようになります。
自営業者であれば確定申告時に申請します。障害者本人であっても配偶者が障害者であっても自動的に障害者控除が受けられるようになるということはありません。
所得税に関する手続きをすることによって住民税の手続きもしたことになりますので、年末調整や確定申告で障害者控除に必要な手続きをすると自動的に住民税の障害者控除が受けられるようになります。
配偶者や扶養親族の場合、納税者本人と生計を共にしていなくても控除が認められます。
障害者控除には「一般障害者」と重度障害の「特別障害者」の2種類の控除対象があり、控除される金額が違ってきます。
障害者控除を受けるに際しては身体障害者手帳などの証明書は必要ありませんが、特別障害者については医師の診断書や市町村が発行する証明書が必要になってきます。
所得税における障害者控除
障害者が所得税の納税義務者本人の場合や納税義務者の控除対象配偶者、扶養親族である場合は所得税の控除が受けられます。
3~6級の身体障害者手帳を持っている・知的障害者と判定されている・2~3級の精神障害者保健福祉手帳を持っている「一般障害者」は所得金額から27万円が控除されます。
1~2級の身体障害者手帳を持っている・重度の知的障害者と判定されている・1級の精神障害者保健福祉手帳を持っている「特別障害者」は所得金額から40万円が控除されます。
65歳以上の方の場合、障害者手帳を持っていなくても障害の程度が一般障害者・特別障害者に準ずか、6か月以上寝たきり状態が続いていて食事や排せつなどの日常生活に支障がある場合、市町村の認定を受けることによって控除対象となることがあります。
住民税における障害者控除
所得税の障害者控除手続きをすることによって、「一般障害者」は26万円、「特別障害者」は30万円の住民税が控除されます。
また、控除対象配偶者もしくは扶養親族が納税者であるか、その配偶者であるか、納税者と生計を一にするその他の親族と常に同居している特別障害者である場合には、所得税40万円・住民税30万円の控除を受けられると同時に同居特別障害者の控除を受けることができます。
一人について所得税35万円・住民税23万円が配偶者控除もしくは扶養控除に加算される形になります。
相続税における障害者控除
相続人が85歳未満の障害者の場合、相続税から一定の金額を差し引く形で障害者控除を受けることができます。
相続税の障害者控除を受けるには①相続時に日本国内に住所があること②相続した時点で障害者であること③相続した時点で法定相続人であることの3点をすべて満たしていなければなりません。
障害者控除の金額はその障害者が満85歳になるまでの年数1年につき10万円で、特別障害者は1年につき20万円です。1年未満の期間は切り上げで1年とみなして計算します。
平成26年12月31日以前の相続開始の場合は一般障害者は1年につき6万円、特別障害者は1年につき12万円で計算されてきました。
障害者控除額が障害者本人の相続税額より大きい場合は、その障害者の扶養義務者の相続税額から引ききれない分を差し引きます。
その他の障害者控除
特別障害者や精神障害者の生活費に当てるために信託銀行などの信託契約に基づいて財産の信託があった場合、特別障害者は6,000万円・特別障害者以外の特定障害者は3,000万円まで贈与税が非課税になります。
ただし、信託会社を通じて税務署長に「障害者非課税信託申告書」を提出しておく必要があります。
地方公共団体が実施している心身障害者制度で支給される給付金は脱退一時金を除いて所得税が非課税となります。
一定の預貯金の利子が非課税の適用を受けます。銀行などの預貯金・貸付信託・公社債・公社債投資信託などで適用されますが、非課税の限度額は350万円です。手続きの際に障害者手帳や市町村による認定書、住民票の写しなどが必要となってくるようです。
まとめ
見落としていませんか障害者控除
障害者控除とは
所得税における障害者控除
住民税における障害者控除
相続税における障害者控除
その他の障害者控除