定年まで勤めて退職したあと、生活の大きな支えとなるのが退職金です。しかし、 退職金 は会社によっても大きな差がある上に、その制度自体がない会社もあります。
では、 平均 すると一体どのくらいになるのでしょうか。ここでは、その平均額や計算方法などについて詳しくお話していきます。
退職金の平均給付額と計算方法
退職金をもらえる会社、もらえない会社
実は、退職金給付制度は、法律によって定められているものではありません。したがって、すべての会社で退職金給付制度を設けているわけではないのです。まず、就業規則を確認し、今自分が勤めている会社に退職金の給付制度があるかどうかを確認することから始めます。
就業規則というのは、労働時間や休憩時間などの条件を記載したもので、正規、非正規にかかわらず従業員が10人以上いる会社では、作成することが義務付けられています。
もし退職金の制度を設けていない会社に勤めている場合、何年働いても、仮に定年まで働いたとしても、退職するときに1円も受け取ることができませんので、注意が必要です。
厚生労働省が発表している「平成25年就労条件総合調査結果の概況」によると、平成25年度時点では、退職金給付制度を設けている会社は全体のおよそ75%、つまり、4分の1の会社は、退職金の制度がないということになります。
従業員数が1,000人を超える規模の会社では93.3%という高い割合でこの制度がありますが、従業員数が100人未満の会社では72%と、規模が小さくなるに連れ、割合も減っていることがわかります。
この調査は、従業員が30人以上の会社を対象としているため、実際には、退職金をもらえない人はもっと多くいると推定できます。
給付額の計算方法
計算式は、次のとおりです。
退職金=退職時の基本給(1ヶ月分)×就業年数×給付率
勤めていた頃の基本給と就業年数によって金額が変わるのは当然ですが、ここで注目すべき点は、「給付率」です。
実は、給付率はそれぞれの会社が独自に定めるもので、会社によって大きく異なります。多くの会社では、勤続年数や役職等によって給付率を定めています。大学卒か、高校卒かという学歴によっても異なることがあります。
また、退職の理由が自己都合か、もしくは会社都合かによっても異なります。自己都合の場合は約60%、会社都合の場合は約70%が平均だと言われています。ただし、これよりも低く設定している会社もありますので、あらかじめ確認しておく必要があります。
仮に、基本給40万円で30年勤め、会社都合で退職した場合の退職金は以下のようになります。給付率は会社都合の場合の平均の70%とします。
退職金=40万円×30×0.7=840万円
なお、厚生労働省が発表している平成25年1月1日時点でのデータによると、35年以上勤めて定年退職した場合の平均は、大学卒で2,156万円、高校卒で1,965万円と、学歴による差が見られます。
特に定年まで勤めて退職する場合、退職金は老後の生活の大きな支えとなります。どのくらい給付されるのか、あらかじめ調べておくと安心です。
自己都合と会社都合
上記のように、退職の理由が自己都合か、もしくは会社都合かによって、給付率が約10%も異なります。では、どのような場合が会社都合となるのでしょうか。一般的に会社都合の退職とされるのは、文字通り、会社側の都合により退職せざるを得ない状況になったときです。
具体的には、業績の悪化などによる倒産や人員整理、大幅な給料の減額、または会社の提示する希望退職に応じた場合などです。
通勤が困難になる場所への移転や、セクハラなどの被害を受けて勤務できない状況になった場合も、これに該当します。
一方、自己都合とは、病気の療養や結婚による引っ越しなど、自分の意志によって退職する場合を言います。
公務員の場合
公務員にも地方公務員、国家公務員があり、それぞれ給付率が異なります。地方公務員よりも、国家公務員のほうが給付率が高い傾向にあります。
内閣官房のサイトによると、公務員の退職金は以下の計算式で算出されます。
退職金=基本額(退職時の基本給×退職理由別、勤続年数別支給率)+調整額
なお、退職理由別、勤続年数別支給率はそれぞれ表によって明確に定められており、その点で民間企業と大きく異なります。
まとめ
退職金の平均給付額と計算方法
退職金をもらえる会社、もらえない会社
給付額の計算方法
自己都合と会社都合
公務員の場合