特養ホーム とは特別養護老人ホームのことです。重度の要介護者にとっては終の棲家のような存在として入居希望者が多い介護施設です。低料金で利用できるというメリットと待機期間が長いことや医療ケアサービスが限定されているなどのデメリットをまとめました。
本当に特養ホームの利用が一番なのか考える
有料老人ホームと特養ホーム
いわゆる老人ホームといわれるものはその運営主体や対象者などの違いにより有料老人ホームと老人福祉施設にわけられます。有料老人ホームの多くは民間の企業によって運営されています。
居住空間や設備が充実している施設が多く医療サービスが充実している施設も増えてきています。入居の対象者は施設がそれぞれ自由に設定できるので年齢や介護状態もある程度幅広い範囲で受け入れ可能です。
また施設によっては介護状態でない方の入居も可能ですし施設に空きがあればすぐにでも入居可能です。
一方で老人福祉施設のひとつである特養ホームは地方自治体や社会福祉法人が運営する公的な施設です。入居の対象者は民間の有料老人ホームよりも制限が厳しく、比較的重度な方や緊急性の高い方が優先されるので入居を希望してもすぐに入居できるとは限りません。
公的な施設なので低料金で利用できますが民間の有料老人ホームほど設備やサービスが充実していない点は否めません。
入居が難しい特養ホーム
特養ホームの入居対象者は原則として65歳以上で要介護3以上と認定され常に介護が必要でありかつ自宅での介護が困難とされる方です。その他伝染病などの疾患がないことや長期入院を必要としないことなど施設によって多少条件が異なります。
各施設や自治体に申し込んだ後入所検討委員会の老人福祉法に基づいた審査を受ける必要があります。
審査の結果寝たきりや認知症が進んでいるなど必要性の高い方から優先的に入所できるようになっています。優先入所の条件には介護を行う方の家庭環境や経済状態なども考慮されます。
入居を希望する人数に対して受け入れ基準に制限りがあり入居後の長期利用などの影響で現状では入居がなかなか困難であり、全国の入居待機者数は40万人以上ともいわれていて、入居までの期間は早くて数カ月、長いと10年ほどかかることもあります。
待機期間をどう過ごすか
特養ホームへの入居待機者の多くは在宅介護を行いながら入居の順番を待っているのが現状です。自宅での介護が困難なので特養ホームへの入居を希望するということを考えるとこの待機期間は本人にとっても家族にとっても切実な問題です。
デイサービスやホームヘルパーなどを利用しても在宅での介護が困難な場合は民間の有料老人ホームの利用を検討する方も増えてはいますが、依然特養ホームへの入居希望が根強いのも事実です。
経済負担は少ない
特養ホームの入所に際して初期費用は一切かかりません。入居後は月額費用として介護サービス費と居住費や食費などの生活費が必要になります。介護サービス費は要介護度などによって異なり介護度が高いほど高額になります。
また施設ごとに設定された介護サービス加算もありいずれも1割(一定以上所得者は2割)の自己負担となります。生活費の中の居住費は居室のタイプによって異なり相部屋よりも個室利用のほうが高額になります。
その他に食費や施設ごとに設定された電話代、理美容代などの利用料金がありいずれも実費を負担します。月額の目安としては5万~13万円ほどです。特養ホームの費用は入居者本人と主たる扶養義務者が負担します。
高度な医療サービスは期待できない
特養ホームは介護保険法の定義による医療サービスよりも介護サービスに重点をおいた施設であるという特性上配置される医師や看護師の数が少ない傾向があります。そのため高度な医療行為を受けることは難しく常時点滴や胃ろう、気管切開をしている方は入所を断られる場合もあります。
しかし最近では特養ホームでの医療ケアに対するニーズが高まってきていることを受け、たん吸引や点眼など一部の医療行為を介護職員が行うことを認めるなど規制が緩和されつつあります。またインスリンの自己注射などの患者に関しては受け入れしやすくなってきています。
ただし医療スタッフの人数や介護職員による医療行為に対する態勢などは施設により大きな違いがあるため、入所できるかどうかという点と併せて入所後に必要なケアが受けられるかどうかという点も施設選びの重要なポイントとなります。
まとめ
本当に特養ホームの利用が一番なのか考える
有料老人ホームと特養ホーム
入居が難しい特養ホーム
待機期間をどう過ごすか
経済負担は少ない
高度な医療サービスは期待できない