介護といえば介護をうける方をベッドから起こしたり、車いすへと移動させたりと、かなりの重労働を強いらせます。そのため腰を痛めてしまう方のもいらっしゃいます。
しかし、 介護 技術 の基本をしっかり理解することで腰や体への負担を改善することが可能です。
体に負担をかけない介護技術の基本を理解しよう
▽ 目次
最小の労力で威力を発揮するボディメカニクスとは
ボディメカニクスとは力学的原理を活用した介護技術のことです。人間の正常な運動機能は、神経、骨格、関節、筋肉がお互いにうまく影響しあって成されています。
ボディメカニクスを理解することで、これらの相互関係をうまく活かし介護にあたることで介護にあたる方が無理のない姿勢と動きで介護にあたることができます。
ボディメカニクスの基本は支持基底面を広く確保し、重心を低くする、本人にできる限り接近する、体をひねらない、てこの原理を利用する、膝の屈伸を利用して水平移動を行う、介護を受ける方の体をなるべく小さくおりたたむの6つです。
支持基底面を広く確保し、重心を低くする
支持基底面を広く確保し、重心を低くするとは、足を開いて膝を曲げ、腰を落とした姿勢のことを言います。
床と接している部分を結んだ範囲、立っている場合は両足の間の範囲のことを支持基底面といい、この支持基底面が広いほど体を支えが安定します。そして、重心がこの支持基底面の中にあることで転ばず立位を保つことができ、さらに重心が低いほど安定します。
本人にできる限り接近する
本人にできる限り接近することで離れて介護を行う時よりも重心が支持基底面の中に納まるため介護にあたる方の姿勢が安定し力が伝わりやすくなるため、無駄な力をつかわず容易に介護を行うことができます。
介護を行う時にはなるべく介護をうける方に近づき介護を行いましょう。
体をひねらない
不自然に体をひねるとバランスを崩しやすくなり、不安定な態勢でその体制を維持するためだけに、無駄に力がかかってしまいます。
そこにさらに人の重さが加わると腰痛の原因となってしまいます。そのため、体は出来る限り介護を受ける方の正面に置き、介護にあたる方が介護を受ける方の移動の妨げにならないように立ち位置に十分気をつけながら介護を行いましょう。
てこの原理を利用する
てこの原理を利用することで少ない力で介護を行うことができます。そのためには支点を作り、持ち上げて動かすのではなく支点を基準に自分の体重をかけながら少ない力で介護を行いましょう。
支点は介護をうける方の態勢によって異なりますので、十分に支点を見極めたうえで利用しましょう。
膝の屈伸を利用して水平移動を行う
介護を受ける方を上下に持ち上げることは介護にあたる方にとって大きな負担となります。しかし、持ち上げるのではなく水平方向へスライドさせて移動すると介護にあたる方の負担が少なく済みます。
しかし、どうしても水平方向に動かさなければならない時には、前屈姿勢では重心が支持基底面から大きくはみ出してしまうため、腰への負担が大きくなります。なるべく体ごと介護を受ける方に近づき、上体の力だけを利用して移動させるのではなく膝の屈伸を利用して動かしましょう。
介護を受ける方の体をなるべく小さく折りたたむ
介護を行う時に介護を受ける方の手足が広がっていると力が分散してしまい、重たくなります。そこで、手は胸の前で組ませたり、足は開かず膝を曲げたりすることで体をできるだけ小さくすることで力の分散が少なくなり介護がしやすくなります。
特に自分よりも大きな方を介護しなければならない時などには注意が必要です。
自然な動きと重心を理解しよう
ボディメカニクスと同時に意識したい介護技術の基本に人が動く時の重心の移動があります。体を動かす時重心も一緒に移動をします。
そして、人の体は重心の移動に対して無意識にバランスをとっています。この動きは人が生まれてから大人になるまでの間に身に付けている合理的で苦痛のない動きです。
そのためこの無意識で行う体を動かすときの重心の移動を意識し理解することで、ボディメカニクスの技術が最大限に発揮され、小さい労力と少ない疲労で介護にあたる方の負担が大幅に改善されることになります。
さらに介護にあたる方にとって負担が少ないということは介護を受ける側の方にも少ない負担で安全で快適で効率の良い介護を提供できることにもつながりますので、是非体得したい技術ですね。
まとめ
体に負担をかけない介護技術の基本を理解しよう
最小の労力で威力を発揮するボディメカニクスとは
支持基底面を広く確保し、重心を低くする
本人にできるる限り接近する
体をひねらない
てこの原理を利用する
膝の屈伸を利用して水平移動を行う
介護を受ける方の体をなるべく小さく折りたたむ
自然な動きと重心を理解しよう