少子高齢化により、介護職の需要がますます高まる一方で、介護の現場では常に人手不足という状態が続いています。 介護 という仕事自体が大変なうえに給与が低いことが、離職率を高めている大きな原因ですが、その仕事をさらに過酷にする一因となっているのが 夜勤 です。
ここでは、介護職の夜勤の実態について詳しく説明します。
介護職の夜勤はきつい?その実態について
夜勤の実態
介護施設で介護職として働く場合、通常は夜勤があります。その頻度は施設によって、もしくはシフトの組み方によっても異なりますが、特別養護老人ホームでは月に4~5回程度、グループホームや有料老人ホームでは月に7~8回程度が平均です。
その回数もさることながら、多くの介護施設では夜勤の長時間労働が問題となっています。施設の9割近くが2交代制を取り入れており、そのうち約7割が、夜勤の勤務時間が16時間以上という実態があります。
さらに、約4割の施設では、仮眠室を設けていないというデータもあり、仮眠室があっても十分な休憩時間が取れないという現場の声も多数存在します。労働基準法上、介護業界には拘束時間の制限を定めるものがないことと、人手不足が相まって、このような状況を作り出しています。
施設によっては、夜勤専従の募集をしているところもあり、その場合は夜勤のみというシフトになります。一方で夜勤がないのは、デイケアやデイサービス、訪問介護、訪問入浴などの日帰りの介護サービスです。
夜勤の大変なところ
夜勤の仕事内容は、基本的には日勤と同様で、食事、服薬、排泄、おむつ交換、着替えなどの日常生活の介助がおもになります。
そのほか、見回りやナースコールへの対応などがあります。介護職というのはただでさえ、体力が必要とされる大変な仕事ですが、そのうえ夜勤となると、さらに過酷になります。
まず、勤務時間帯が通常と異なるので、生活リズムが崩れるということがあげられます。夜勤と日勤のシフトが交互になれば、睡眠時間帯もその都度変わってくるので、体調を崩しやすくなります。
さらに大変なのは、日中よりも職員の人数が減るので、体力的、精神的な負担が大きくなるということです。施設によっては、夜間はフロアを一人で担当するということも多いようです。
しかし、夜間は仕事が減るというわけではありません。入所者の中には夜間も活動している人もいるので、目を離せません。特に認知症が進行した入所者の場合、昼夜が逆転することもあり、日中と同様の介助が必要になることもあります。
徘徊する入所者がいれば、転倒しないように注意していなければなりませんし、ナースコールを必要以上に押す人がいれば、その都度それに対応しないといけません。さらに、入所者はみな高齢で、持病を抱える人もいますので、夜間に容体が急変するということもあり得ます。
施設によっては看護師の夜間勤務が義務付けられていないところもあり、そのようなときは介護職だけで、しかも少ない人数で対応しなければなりません。
日常生活の介護だけでなく、命を預かっているというさらに重大な責任を感じることになります。このように、介護職の夜勤は、体力だけでなく、精神力もかなり要求されることがわかります。
夜勤のメリット
上記のように、夜勤は体力的、精神的に重労働です。では、夜勤のメリットとは何でしょうか。それは、夜勤手当がつくこと、つまり金銭的なメリットと、連休を取りやすいということがあります。
夜勤手当は1回につき、通常3,000円~10,000円程度で、基本給とは別なので、夜勤を増やせば給料も上がることになります。夜勤専従として働いている人の中には、生活のリズムを保ちながら、高い収入を得ている人もいます。
また、長時間の夜勤の翌日は基本的にどの施設でも休みになるため、連休を取れることが多いのも夜勤のメリットの一つです。多くの人にとってはきつい働き方ですが、このような働き方が合っているという人もいます。
しかし、より多くの人にとって働きやすい環境とし、介護現場の人手不足を解消するには、こうした夜勤のあり方も見直す必要がありそうです。
まとめ
介護職の夜勤はきつい?その実態について
夜勤の実態
夜勤の大変なところ
夜勤のメリット