肺炎は細菌やウィルスなどの病原微生物が肺に入ることで感染し炎症を起こしている状態で、癌・心臓病・脳卒中に続き日本人の死亡原因の第4位となっている病気です。90歳以上の 高齢者 では、 肺炎 が死亡原因の第2位となっています。
高齢者の死亡原因の一つである誤嚥性肺炎について
肺炎の主な種類
細菌性肺炎
肺炎の中で最も多く4分の1は肺炎球菌による肺炎で、治療には抗生物質を使用します。肺炎球菌ワクチンが有効で、接種すると5年間は有効です。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマという病原微生物が原因となる肺炎で、発症は若年者に多く、小児・若年成人がよくかかります。
流行は4年ごとに蔓延することで、オリンピック肺炎などと呼ばれていたこともありますが、今では周期が崩れてきています。
通常の抗生物質が効かず、特定の抗生物質を使う必要があり、咳が続く場合には他人にうつさないようマスクの着用が必要です。
誤嚥性肺炎
飲食物が食道ではなく気管に入ったために起こる感染症ではない肺炎です。
健常者では食べ物が気管に入ることはまずないのですが、嚥下機能が低下した高齢者では誤って気管に入ることがあり、肺まで侵入すると嫌気性菌が二次的に感染し重症の肺炎をひきおこします。高齢者の肺炎では70%が誤嚥性肺炎だといわれています。
誤嚥性肺炎の特徴
発熱
37.5度以上の高熱が続く場合は肺炎の可能性があり、注意が必要になります。また数日ごとに発熱を繰り返す場合も誤嚥性肺炎の可能性があります。
しかし高齢者では微熱程度でも肺炎を発症している可能性もあり、その他の症状も組み合わせよく観察し受診することが大切です。
むせ
食事や飲み物を飲むときにむせる症状があったり、痰を伴わない咳が出る場合も誤嚥が起きている可能性があります。
咳・痰
風邪や肺炎を疑う症状であり、痰に色がついた粘液性の痰がみられた場合も誤嚥性肺炎を起こしている可能性があります。
しかし重要なのは結核という可能性もあるということです。結核を疑われる場合は、すみやかに専門病院へ受診する必要があります。
誤嚥性肺炎の予防のためのトレーニング方法
呼吸トレーニング
腹式呼吸を行い呼吸機能を高めることで、気管内に入った食べ物を排出しやすくなります。
食べ始めは特に誤嚥を起こしやすいので、食事前には腹式呼吸を行うことは誤嚥を防ぐことにつながります。
発音トレーニング
パ行は口、舌、喉を使うため、口腔器官を鍛えることができ、誤嚥を防ぐことに有効です。
パ行だけでなくタ行・カ行・ラ行を繰り返し発音するパタカラ体操はデイサービスやデイケアの食事前によく行われています。
首や口のトレーニング
首の後ろやのど元をマッサージすることで、周辺の緊張をとり嚥下時の筋肉運動をスムーズに行うことができます。また首のトレーニングは首を前後・左右に動かししっかりと首筋を伸ばし、口のトレーニングは息を吸って頬を膨らませたりへこましたりを繰り返します。
舌も出したり引っ込めたりすることで、嚥下機能を高めることができます。
誤嚥性肺炎を防ぐための食事での注意点
テレビなどを見ることは集中力が低下するため、音楽などをかけながらゆっくりとリラックスして食事をすることが大切です。
姿勢も大事で椅子とテーブルの高さや座位の角度など、食事を食べるための環境を整えましょう。テーブルは肘が自然につく高さが最適で、やや前かがみになる姿勢が飲み込みやすく誤嚥を防ぎます。
高齢者の場合は汁気の多いものはむせやすいため少しとろみをつけたり、大きいものは小さめに切るなどの工夫が大切で、こんにゃく類はやわらかくても、噛みにくいために注意が必要です。
またお寿司が好きな高齢者は比較的多いようですが、海苔巻きの海苔は噛み切りにくいためあらかじめはさみで切り目をいれておくなどの工夫が必要です。
そして食後は口腔内を清潔に保つことが重要です。口腔内が不潔になっていると、口腔内の細菌が気管から肺に入り誤嚥性肺炎の原因になることがあります。
まとめ
高齢者の死亡原因の一つである誤嚥性肺炎について
肺炎の主な種類
誤嚥性肺炎の特徴
誤嚥性肺炎の予防のためのトレーニング方法
誤嚥性肺炎を防ぐための食事での注意点