血圧の正常値は現在年齢に関係なく、130/85mmHgとなっています。しかし65歳以上では約6割の高齢者が高血圧となり、高血圧から他の疾患につながり、時には死に至る可能性もあります。
今回は 高齢者 の 高血圧 について説明いたします。
高齢者の高血圧予防と運動・食事療法
高齢者の血圧の特徴
高齢者の血圧の特徴は収縮期血圧が上昇し、脈圧が増加することが特徴です。収縮期血圧とは最高血圧とも呼ばれ、血液が心臓から送り出され、血圧が最も高くなっている状態のため、よく上の血圧と言われています。
血圧値は血管の硬さと血液量によって決まり、血液の粘度が高かったり、血管が硬化すると血管抵抗がおこり、血管壁に対する圧力が高くなります。収縮期血圧は140mmHg以上で高血圧と診断されます。
また高齢者には起立性低血圧が起こりやすいとも言われています。起立性低血圧とは寝ている状態や座っている状態から、急に立ち上がった時に血圧が低下しめまいをおこす状態で、ふらつきや動悸、失神などを起こすこともあります。
失神時の転倒によるケガなども大変大きな事故につながる可能性があります。
なぜ高齢者に起立性低血圧が多いかというと、普通であれば体位が変わっても全身の血流はコントロールされていて、正常を保つことができますが、加齢とともに脳の血圧中枢の働きが落ちるため、末梢血管の収縮反応が鈍くなり、立ち上がった直後に血圧が低下してしまうことで、起立性低血圧を起こしやすくなります。
起立性低血圧のほとんどは、血管が拡張しやすい夏に起こっています。
高血圧の日常生活での予防
高齢者では水分不足や気温の変化などの、ちょっとしたことが脳卒中や心臓疾患などを起こす引き金となることがあります。特に寒い季節の入浴やトイレには気を付けましょう。
高齢者になると夜間のトイレの回数も多くなりますが、深夜や早朝に寒い場所へ行くことで、血管が収縮してしまい血圧の上昇を招きます。
また入浴時も寒い脱衣所から熱い湯船に入ることで、急に血圧が上昇することから、血管や心臓に大きな負担を与えます。入浴時はあらかじめ脱衣所を暖めておいたり、シャワーを出しておき浴室を暖めておくなどの工夫をしましょう。
また高齢者は脱水になりやすいことも特徴です。喉が渇いているということに気付きにくく、冷暖房の節約という観念から、夏や冬でも決して居心地がよい部屋の状態ではないことが多くあります。
そして夜間のトイレの回数を減らしたいという気持ちから、水分不足になることも多いようです。睡眠時は思ったよりも汗をかいており、体の水分が失われているので起床時には水分不足の状態となっています。
就寝前と起床時には水分をとるようこころがけ、日中も喉がかわいていなくても、1、2時間おきに水分摂取をするよう心がけましょう。
高血圧と運動療法
急に激しい運動を行うことは、血圧をあげる原因となるので、日頃から少しずつ運動量を確保することが大事です。運動不足になるとコレステロール値や中性脂肪が高くなり、動脈硬化になりやすいのですが、運動することは動脈硬化の予防につながります。
そして適度な運動は血管を拡張させ血圧を下げることにもつながります。また運動時に体へ酸素を取り込むことで、心肺機能にも効果があり、心臓への負担も軽くなります。
そして運動はストレス解消にもつながります。おすすめは水中でのウォーキングですが、自宅近くにプールがなかったり、費用が発生することで難しい高齢者もいます。
自宅近くをウォーキングしたり、自宅内で踏み台昇降を行うことも無理なく有酸素運動ができるので効果的です。NHKで放送されているラジオ体操は、決まった時間に放送されるため、毎日その時間に合わせ体操をするのもいいですね。
高血圧と食事療法
高血圧の原因として塩分の摂取量が多いことがあげられます。食塩は1日6g/以下におさえ、野菜・果物・魚を積極的に摂ることをお勧めします。なぜなら野菜や果物、魚油にはカリウムが多く含まれていて、カリウムには血圧を下げる作用があるからです。
また飲酒も直後は血圧が低下するのですが、数時間後には血圧を上昇させますのでできるだけ控えましょう。
まとめ
高齢者の高血圧予防と運動・食事療法
高齢者の血圧
高血圧の日常生活での予防
高血圧と運動療法
高血圧と食事療法