「勘違いしやすい相続税の正しい税率計算法(前編)」では、相続税の正しい税率計算法についてご紹介致しました。後編では、1億1円以上からはどのような 相続税 の 税率 計算法になるのか、またその場合の超過累進課税についてご紹介致します。
勘違いしやすい相続税の正しい税率計算法(後編)
1円でも超えればその区分の税率が適用されるが…
現在の相続税の税率区分は8段階にわかれていますが、これは以前に比べて格段に累進性が強化されています。課税対象1億円以下は従来と変わらないものの、1億1円以上からは課税強化されたうえに区分もこれまでより細分化されています。
これによって起こってくるのが区分のボーダーラインをわずかに超えた場合でも区分の最上限の場合と税率が同じという不公平感です。そこでこれを調整するために取られているのが超過累進課税方式です。
相続税においては1億円以下なら30%の税率が1億1円超2億円以下の相続対象額では税率が一気に40%に跳ね上がります。
この、ほぼ1億円もの差があるにもかかわらず同じ税率を課すように見える課税を調整しているのが超過累進課税で、課税対象額全体に税率を適用せず、課税区分を超えた金額にのみその税率を課すという仕組みです。
1億1円のケースなら、区分を超えた1円にのみ40%の税率を課し、1億円以下の部分には30%、5,000万以下の部分には20%、3,000万以下の部分には15%といった具合に各区分の税率ごとに計算して合算し課税します。
このそれぞれの区分に応じた計算と、全体に一括課税した場合の計算とで出る差額をなくすために設けられているのが各区分ごとの控除額です。
たとえば2億円以下・40%の税率区分には1,700万円の控除額が別途設定されていますので、1億1円の場合、その40%の4千万4円から1,700万円を引いた2,300万4円が納税額となります。
少子高齢化の中で展望される課税強化
世界の中でもひじょうに高負担な日本の相続税ですが、それは世界でもっとも高齢化が進み医療費などの公的負担が増し、財政がひっ迫し続けていくこの国にとってはやむをえない面もあるのかもしれません。
また、1,500兆円という金融資産が高齢者層に偏在し、なかなか社会に還流してこないことに対しても税金による再分配機能は役割を求められざるを得ないのかもしれません。
すでに予定されている消費税の増税に加え、今後も負担が増すことこそあれ、減ることは考えづらい環境です。適切な節税を最大限行い資産防衛することがますます重要になってくるでしょう。
まとめ
勘違いしやすい相続税の正しい税率計算法(後編)
1円でも超えればその区分の税率が適用されるが…
少子高齢化の中で展望される課税強化