退職は本人が会社を辞めるのだから、会社と本人だけの問題……ではありません。周囲の人たちにも少なからず影響を与えます。その影響について「気づかなかった」では社会人失格と思われても仕方がありません。
退職 時には周囲の人たちにも 挨拶文 を送りましょう。
退職したら周囲の人たちに挨拶文を送りましょう
3~4種類のパターンが必要
一口に挨拶文といっても、送り先の立場によって書き方はもちろん、内容も少しずつ変わってきます。辞めた会社の役員や上司に送る挨拶文と元同僚に送る挨拶文とでは、書き方が変わるのはうなずけるでしょう。これが友人だったらもっとくだけたものになるはずです。
このように、挨拶文にはいくつかのパターンが必要です。ここでは、煩雑さを避けるため三つのパターンにわけてみます。
A=役員や上司、B=同僚や部下、C=友人というのがそれですが、在職中の取引先や顧客といった三つのパターンに当てはまらないケースもあるでしょう。そういう場合は、以下に紹介する挨拶文の基本を応用して新たなパターンを設定してみてください。
冒頭は頭語+安否の挨拶
退職の挨拶文といっても基本は一般的な手紙と同じです。本文に入る前の前文と呼ばれる部分は頭語+挨拶で構成されます。頭語には拝啓、謹啓、前略などがありますが、ここでは拝啓が一般的です。これは「へりくだって・謹んで申し上げます」という意味です。
頭語のあとには時候の挨拶が続きます。「〇〇の候」というのが通例で、これは季節に応じて変わります。新春や新緑、盛夏、仲秋など各種あります。「時下」という季節に関わりなく使える用語もあります。
安否の挨拶とは先方が無事かどうかを確 認することです。会社の場合は繁栄を祝福します。したがって、個人か法人かによって文面は変わってきます。 Aの場合、「皆様には益々ご健勝(ご清祥)のことと心よりお慶び申し上げます」というのが多いパターンです。
Bでは「皆様にはお変わりなく(お元気で)お過ごしのこととお慶び申し上げます」と、あまり堅苦しくしない方が気持ちが伝わるでしょう。
Cは頭語が必要ないかもしれません。そのときはいきなり安否の確認から入ります。 「ご家族の皆様(〇〇様)にはいかがお過ごしでしょうか(お健やかにお暮らしのことと存じます)」というのが代表的です。
退職の理由は省略できます
冒頭の挨拶の次に、本文である退職の報告をします。このとき、理由を懇切丁寧に説明する必要はありません。簡潔に知らせ、在職期間中の感謝の気持ちを表します。
「さて、私儀、このたび一身上の都合により〇〇を退職いたしました。在職中は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」というのがA、Bに共通するパターンです。
もっとも、結婚や出産にともなう退職の場合は堂々とその理由を明記して、喜びを分かち合っていただきましょう。
「さて、私こと、このたび、結婚(出産)を控え、○○を退職することとなりました」
これもA、Bに共通します。
「さて、私儀」の部分は行の一番下に書くのがルールですが、読みづらいためか近年は一番上から書き始めるのが当たり前のようになってきています。
Cの場合、在職中の感謝は必要ありません。退職の報告をしたあと、今後の予定などをしたためればいいでしょう。
- しばらくは休養がてら、今後のことなどをじっくり考えたいと思っています。
- 以前より予定していた○○に転職(〇〇を開業)するつもりです。
- 今後は新しい家庭に専念したいと思います。
ここでは三つの例を示しましたが、気の置けない友人ならほかにもさまざまな書き方ができるでしょう。
末文は結びの挨拶と結語
最後は結びの挨拶です。 目上の人に対しては「今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます」というのが使いやすいでしょう。
同僚や部下の場合は、「皆様のご健康(ご健勝)とご多幸をお祈り申し上げます」のように先方の健康を気づかう例が多いようです。
「まずはお知らせまで」という結びもよく用いられます。 友人には「いずれ落ち着いたら改めて連絡します」と結ぶのもいいでしょう。
手紙の最後は結語で締めます。これは留め書きと呼ばれるもので、頭語が拝啓なら敬具(女性ではかしこ)で納めます。前略の場合は草々です。
メールよりも手紙で
現在は圧倒的にメールで連絡するケースが多い時代です。退職の挨拶文もメールで送ることが可能です。
しかし、この二つを比べたとき、手紙の方が丁寧に感じます。差出人をより身近に感じることも確かです。
とはいえ、何通も同じような内容の挨拶文を書くのは大変です。業者に依頼して印刷するのもやむを得ません。自分でパソコンに入力し、自宅のプリンターで印刷してもいいでしょう。
ただし、この人はという人にだけは自筆の挨拶文を送りましょう。
まとめ
退職したら周囲の人たちに挨拶文を送りましょう
3~4種類のパターンが必要
冒頭は頭語+安否の挨拶
退職の理由は省略できます
末文は結びの挨拶と結語
メールよりも手紙で