平成26年10月現在の65歳以上の高齢者は3,300万人、そのうち、何らかの介護保険サービスを受けた高齢者は、約470万人、財政規模で約9兆円となっています。
介護保険制度では、介護サービスを受ける場合は、まず要介護認定を受け、事業者からサービスを受けた後、サービスを提供した事業者に対して、介護保険財政(国・地方・保険料など。以下で説明)から9割を、残り1割を利用者が支払うという仕組みになっています。
今回は、 介護 保険の財源構成と 保険料 がどのようにして成り立っているのかを概説します。
介護保険制度と保険料
介護保険財政について
はじめに、介護保険財政の概要を説明します。
介護保険財政とは、介護保険制度を運用するために必要な財政措置ですが、その内容はいくつかの財源により構成されています。まず、全体の50%を税金で賄います。内訳は、国が全体の25%、都道府県と市町村がそれぞれ12.5%となります。
次に、残りの50%は介護保険料で賄います。介護保険の被保険者は第1号被保険者と第2号被保険者に分かれます。第1号被保険者は65歳以上の者、第2号被保険者は40歳から64歳までの者で何らかの健康保険制度に加入している者となります。
これら被保険者が保険料として賄う50%の内訳は、第1号被保険者が約21%(財政安定化基金分を含む)、第2号被保険者が約29%となっています。つまり、全体的には、行政と国民で半分ずつ負担をしているということになります。
被保険者が納付する介護保険料は、全体で4.3兆円(平成25年度)、内訳としては第1号被保険者分が1.8兆円(同)、第2号被保険者分が2.5兆円(同)です。行政負担分と合わせて全体としては8.7兆円(同)という非常に大きな金額になっています。
今後、高齢化が一段と進む中で、介護保険財政の確保、制度そのものの維持・存続は大変大きな課題となっています。
被保険者の構成について
被保険者の人数ですが、まず、第1号被保険者は、全体で約3,202万人(平成25年度)、第2号被保険者は約4,263万人(同24年度)となっています。これらの被保険者が納付する介護保険料は、同一ではなく、それぞれ異なった計算方法により計算された金額を納付しています。
なお、納付方法は、年金や給与からの天引き(特別徴収)と納付書による納付(普通徴収)があります。
第1号被保険者(65歳以上)の保険料
第1号被保険者の保険料は、市町村により多少差があります。大まかな保険料の計算方法としては以下のとおりです。
まず、保険料の基準額を決定します。決定の方法は、基準額=(その市町村で介護保険給付にかかる費用)×(65歳以上の人の負担割合(21~22%※自治体によって異なる))÷(その市町村の65歳以上の人口)となります。
この算式で決定した基準額を基準として、例えば被保険者本人に市町村民税が課税されているか否か、また非課税であってもその方の世帯員に課税者がいるかなど、全体で11段階程度の区分を設定した上で、保険料を決定しています。
市町村によって違いはありますが、全国平均では月額5,514円(27年度~29年度まで)となっており、この額は3年に1回見直すこととされています。(次回改定は平成30年度)
第2号被保険者(40歳~64歳)の保険料
第2号被保険者の保険料は、結論から言いますと加入している健康保険の種類によって計算方法が異なるということになります。
例えば、国民健康保険加入者の介護保険料は、所得割、均等割、平等割、資産割を基本にそれぞれの市町村によってこれら全部、または一部を合算して決めます。
次に、サラリーマンのように給与から天引きされる者は、標準報酬月額×介護保険料率で決定します。保険料率は、加入する健康保険組合ごとに異なってきます。
まとめ
介護保険制度と保険料
介護保険財政について
被保険者の構成について
第1号被保険者(65歳以上)の保険料
第2号被保険者(40歳~64歳)の保険料