平成26年10月現在の我が国の総人口は1億2,708万人、そのうち65歳以上の高齢者は3,300万人で高齢化率は26.0%となっています。実に4人に一人以上は高齢者ということになります。
これは、統計を取り始めてからは過去最高であり、将来的にはさらに高齢化が進むものと予想されています。一方、人口の将来推計では、日本の総人口は今後大幅に減少すると予測されています。
今回は、世界に類を見ない我が国の 高齢化 率 、人口減少と社会保障制度の関連について概説します。
我が国における高齢化率と人口減少
高齢化率の現状について
昨年10月時点で、65歳以上の人口は、男性1,423万人、女性1,877万人、合計3,300万人となっており、総人口に占める割合は26.0%です。これは、世界でも最も高い水準にあります。
一方生産年齢人口(15~64歳)は、男性3,926万人、女性3,859万人、合計7,785万人で61.2%となっています。つまり、高齢者一人を現役世代の2.4人が支えている計算になります。
参考までに年少人口(0~14歳)は男女合計で1,623万人、12.7%と高齢者人口の半数以下にとどまっています。
団塊の世代の動き
昭和22年~同24年に生まれた世代を「団塊の世代」と言います。この世代が65歳以上となる平成27年(2015年)には、高齢者人口は3,395万人となりその塊が年齢を重ねていくとともに、引き続き増加を続け、平成54年(2042年)に3,878万人でピークを迎えます。
団塊の世代が後期高齢者になる平成37年(2025年)には、後期高齢者が急激に増加することにより後期高齢者医療制度をはじめ社会保障制度が様々な課題に直面することとなるいわゆる「2025年問題」を迎えることになります。
人口の減少による影響
高齢化率の上昇に加えて、我が国の総人口の減少が深刻な状況にあります。
これは、高齢者が増加を続ける一方、総人口が減って働く人が減る中、社会保障制度の維持・存続をどのように図っていくのか、という問題と直結します。
具体的には、46年後の平成72年(2060年)には総人口8,674万人、高齢者3,464万人、高齢化率39.9%と推計されています。
つまり、人口は現在から約4,030万人減少し、高齢者は134万人増加することで高齢者は、現在の4人に一人から2.5人に一人ということになります。
人口が減少する中で、これだけ高齢者が増加するとそれを支える現役世代の負担も大きく増大します。平成72年の生産年齢人口は4,418万人と推計され、実に高齢者一人を現役世代1.3人で支えなければならなくなるのです。
2040年全国自治体の半数は存続の危機
「日本創成会議」人口減少問題検討分科会の発表で注目すべき点は、20~39歳の女性の人口動態です。2040年には全国の約半分にあたる896の市区町村でこの年齢層の女性が5割以上減少しまさに存続の危機を迎えます。
さらに、このうち523市区町村では人口が1万人未満となり、女性が出産する子供が増加しても、人口を維持できず消滅するおそれがあるとしています。人口減少の問題は、まさに国の存立に関わる重大案件であることがご理解いただけると思います。
制度の動きを常に注視して
平成24年(2012年)度は、社会保障給付費が全体で約109兆円と、過去最高になりました。そのうち高齢者関係給付費は約74兆円で全体の68.3%を占めるに至っています。
高齢化率が上昇し続け、総人口(特に生産年齢人口)が減少する中で、健康保険制度、介護保険制度、後期高齢者医療制度、公的年金制度など、国・地方・本人負担(保険料等)で成立しているこれらの制度が、今のままで将来にわたって持続可能か否かは大変厳しい状況にあります。
現在、後期高齢者制度の保険者を市町村連合から県へ移管する、介護保険制度の自己負担分を増額する、あるいは年金の統合化を図る、消費税増税分を社会保障経費にまわすなど、諸制度維持のために様々な改革が進められようとしています。
私たちは、高齢化率の推移を自らの生活に直接影響のある社会保障制度に直結する問題としてしっかりと認識し、注視していく必要があります。
※参考資料:平成27年版高齢社会白書 内閣府
全国市区町村別20~39歳女性の将来推計人口
日本創成会議
まとめ
我が国における高齢化率と人口減少
高齢化率の現状について
団塊の世代の動き
人口の減少による影響
2040年全国自治体の半数は存続の危機
制度の動きを常に注視して